占いを「人生の味方」につけるには?
コロナウイルスという未知の脅威にさらされた2020年も半分が終わり、私たちの日常は大きく変化しました。そんな不安な時、耳を傾けたくなるのが「占い」です。
そこで、西洋占星術に出合って人生が変わったという作家(にして見習い占星術師)の望月麻衣さんと、望月さんの先生で占星術師・アロマセラピストの宮崎えり子先生のおふたりが対談。
望月さんご自身の体験を語っていただくとともに、コロナ後の世界をどう生きるのがいいのか、星の動きを見ながら探っていきました。
望月 私が西洋占星術に出会ったのは2013年のことでした。占星術の情報を発信しているSNSの記事を読んで、「星の流れに従って行動するといい」というのを知り、遊び感覚で始めてみたんです。
宮崎 やってみてどうでした?
望月 驚きましたね。ちょっと意識して行動を変えてみたら、煮詰まっていたことが解決して、いろんなことがうまくまわり始めました。
その年の夏にはWEBの小説大賞を受賞し、夢だった小説家にもなれました。それで、占星術ってすごいと、自分でも勉強を始めたんです。
そこからさらに道が開けて、『京都寺町三条のホームズ』という作品がシリーズ化され、コミカライズやアニメ化まで実現しました。
宮崎 おお、それはすごい。
望月 占星術をテーマにした小説をいつか書きたいと思っていましたが、念願叶って『満月珈琲店の星詠み』(イラスト 桜田千尋さん)という作品を書くことができました。
宮崎 占星術を小説にするのは難しいと思うんですけど、まさに人生に占星術が役立つということが書かれていると思いました。
望月 占星術って自分を知ることにすごく役立つ気がするんですよ。占いの結果をもとに行動するから、それが人生にもプラスに働くんじゃないかなって。
宮崎 その通りです。
麻衣さんの場合は、初めてお会いしてネイタルチャート(出生図)を見たとき、文章をお金に換える才能があると出ていたんですよね。もともと持っていた資質に気づいて努力したことで、人生が開けたんだと思います。
ネイタルチャートは自分の取扱説明書とも言われていて、今まで見えなかった自分の特性や苦手なことも把握できたりします。
望月 初めて出生図を見た人はちんぷんかんぷんだと思うので、まずは太陽星座と月星座を見るのがいいかもしれませんね。
太陽星座はいわゆる星占いで使う星座です。これは社会的な自分を表しています。一方、月星座は内面を表します。太陽星座で○○な性格と言われてしっくりこないなあ、と思っている人も月星座を知ることで疑問が解消されたりします。ふたつの星座を知ると自分自身への理解が進むんです。
宮崎 自分の性格がわかると、得意不得意も見極められるようになって、上手に人に頼れるようにもなります。自分に向いてないことだったら、「ちょっと私これ苦手だからお願いね」と素直に言えるようになるんじゃないかな。
望月 そうですね。変なことを言うようですが、私は占星術を始めて、他人に優しくなったと思うんです。
宮崎 それはどういうことですか?
望月 私はせっかちな性質で、すぐに行動しない人を見るとイライラしてしまっていたんですが、占星術を始めてそれがなくなりました(笑)。一人ひとり全然違う星の下に生まれているんだから、各々ペースが違ってあたりまえなんだと思えるようになって。
宮崎 そうそう、ひとの個性や運命はまさに千差万別。星を見ることで、他人との違いにも気づけるし、自分の場合、これからどう動くのがベストなのかが考えられるようになる。課題を明確にして、自身の成長に役立てられるのが占星術の面白さです。
2020.07.04(土)
文=文藝春秋「別冊文藝春秋」編集部
イラスト=桜田千尋