パン種を継ぎ足し、継ぎ足して
使用するこだわり
「京都・桂産の小麦を使い始めて、ヴィーガン(卵、乳製品、蜂蜜など動物性のものを口にしない完全菜食主義)のパンを作るようになりました」というのは、「アペリラ」店主の髙橋さやかさん。
髙橋さんは、卵やバターなどの乳製品を入れると、小麦本来の香りが生かせないことに気づいたと言います。有機のドライイチジクと桂産小麦の全粒粉でおこしたパン種をずっと継ぎ足し、継ぎ足して使用。
熊本県産などの国産小麦粉ベースの生地に加えるのは、季節の果物や野菜からおこした自家製酵母、北海道産手絞り菜種油、種子島産粗糖など。
しっかり焼き込んで、小麦はもちろん自家製酵母の風味もほのかに感じられるキレの良い食感のパンに仕上げています。
お店があるのは、叡山電鉄・京阪電気鉄道の出町柳駅から北へ歩くこと、約7分の場所。京都バス御蔭橋停留所すぐにあるベーカリーカフェは、道路から奥まったところに入口があり、気をつけていないと通り過ぎてしまいます。
目印は小さな立て看板。店に入ると香ばしい匂いが漂い、平台にはしっかり焼き込まれて濃い茶色をしたパンが並んでいます。奥は靴を脱いで上がる木造りのカフェスペース。
中庭の木々を眺めながら、常連も観光の外国人客もゆったりパンを食べたり、ドリンクを飲んだり。和みの空間です。
店主・髙橋さやかさんは、カフェで働いてベーカリー担当になり、パン作りの面白さにはまりました。
独学で酵母をおこしてパンを焼くようになって、2007年から自宅でパン教室を始め、2015年9月に実店舗をオープン。パン教室もずっと続けています。
髙橋さんがおこしている酵母は、常時5、6種類。桃の種やメロンのわた、パイナップルの芯からおこすことも可能。
パンだけでなく、クッキーやスコーン、カフェで出すサラダのドレッシングやスープにも酵母を使っています。夏には酵母液をシロップにしたかき氷も登場します。
2019.09.14(土)
文・撮影=そおだよおこ