ピーナッツを食べる人ほど
BMIが低い

 BMIは、体重÷(身長×身長)で計算します。体重はキロのままで計算しますが、身長はセンチメートルではなくメートルに置き換えます。体重が60キロ、身長が165センチなら1.65メートルとなるので、BMIは22.04というわけです。

 日本肥満学会は、次のような「肥満度判定基準」を示しています。

▼肥満度判定基準
・18.5未満:低体重(やせ)
・18.5~25未満:普通体重
・25~30未満:肥満(1度)
・30~35未満:肥満(2度)
・35~40未満:肥満(3度)
・40以上:肥満(4度)

 ハーバード大学の「ナース・ヘルス・スタディ(Nurse’s Health Study)」が、「ピーナッツ・ナッツを食べる頻度とBMIとの関連」を調べた研究があります。アメリカの看護師 86,016人を対象にした、大規模な調査です。

 すると、ピーナッツとナッツを食べる頻度が高い人ほどBMIは低く、食べない人ほどBMIが高いことがわかりました。私はこの研究内容をくわしく調べていて、ナッツを食べている人よりピーナッツを食べている人のほうが圧倒的に多いことに気づきました。この結果から、ピーナッツを習慣的に食べる人は痩せていることがわかってきました。

食物繊維の整腸効果

 健康な女性16人(平均年齢45.1歳)に、毎日30粒のピーナッツを8週間食べてもらった実験を紹介しました。便秘傾向の女性には、便通の改善効果が見られたという結果です。便通がよくなるとなれば、気になるのは体重の減少です。

 実はこの試験は、BMI平均が27.6と、日本肥満学会の基準でいえば「肥満(1度)」の方々が対象となっていました。その分、8週間後の体重減少効果が期待されました。

 しかし結果として、体重の変化は観察されませんでした。理由としては、8週間という比較的短期間の試験であったことや、季節的な要因などが考えられます。

 今後、さらなる研究が望まれるところです。はっきりしているのは、ピーナッツに整腸作用があること。食物繊維を豊富に含むのですから、これは明らかな事実です。臨床研究でも証明されています。

 食物繊維は低カロリーで、噛んで飲み込むのに時間がかかる上、消化されにくく、体内で水分を吸収して膨らみます。そのため満腹感が得やすいので、ダイエットに適しています。水溶性と不溶性の2種類があって、どちらもバランスよく摂るべきです。

 水溶性食物繊維は、体内で溶けるとゲル状になります。血中コレステロール値を下げたり、糖の吸収を抑えて食後血糖値の急上昇を防いだり、善玉菌のエサとなって腸内環境を整える、といった効果があります。果物、海藻、きのこ、イモ類などに含まれています。

 不溶性食物繊維は水分を吸い、繊維質を保ったまま排出されます。したがって腸の動きを刺激し、便のかさを増し、排便を促します。大腸がんの予防にも効果があります。玄米や雑穀などの穀物、コンニャク、豆類などに含まれます。

 ピーナッツは豆ですから、食物繊維は不溶性です。腹持ちがいいので、間食を防ぐ効果もあります。

『ハーバード大の
 研究でわかった
 ピーナッツで
 長生き!』

著・井上浩義
定価1,300円+税
文藝春秋
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井上浩義(いのうえ ひろよし)

1961 年福岡県出身。慶應義塾大学医学部教授。医学博士、理学博士。九州大学理学部化学科卒業。同大学院理学研究科博士課程修了。専門の薬理学、原子力学、高分子化学のみならず「食と健康」についても造詣が深く、ナッツやえごま油など「健康によい油」の有用性研究の第一人者でもある。NHK『あさイチ』などテレビ出演多数。著書に『知識ゼロからの健康オイル』(幻冬舎)、『カカオでからだの劣化はとまる』(世界文化社)、『食べても痩せるアーモンドのダイエット力』(小学館101新書) など多数。