世界中でいま、ピーナッツに注目が集まっています。栄養バランスが優れているにもかかわらず、値段が安く、しかも美味しいから。
その健康効果を慶應義塾大学医学部の井上浩義教授・著『ハーバード大の研究でわかった ピーナッツで長生き!』よりご紹介します。
カロリーは高いが
コレステロールは含まれていない
ピーナッツと聞くと、「脂肪分が多い=太る」と早とちりして、敬遠される方がいらっしゃいます。では、「ピーナッツの栄養素は、“畑の肉”と称される大豆と似ているんです」と聞いたら、どうでしょう?
ピーナッツは、ヘルシーかつ栄養たっぷりな点で豆の仲間を代表する大豆に、成分が似ています。大豆は、タンパク質が38%、脂質が18%、炭水化物15%、糖質15%、水分14%といった栄養成分。ピーナッツは49%が脂質、26%がタンパク質、19%が炭水化物ですから、大豆に比べると、タンパク質はやや少なく、炭水化物と脂質が多くなっています。
いわゆるナッツ類だと、脂質の多いのはマカダミアナッツ、ヘーゼルナッツ、クルミ、アーモンド、カシューナッツという順。ピーナッツはその下に位置します。
脂質は毎日摂らなければならない、身体に必要な栄養素です。成人の身体を作る60兆個の細胞は、タンパク質で出来ています。しかし、その周りを取り囲んでいるのは、脂肪です。食べ物から脂質を摂らないと、細胞は新陳代謝を起こせないのです。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、食事のエネルギーのうち、約25%は脂肪から摂ることを勧めています。すなわち、1日で脂肪(油脂)40~50グラム程度を摂ることが必要です。どうせ脂肪を摂るのなら、身体にいい脂肪を選びたいものです。
確かにピーナッツは、半分が脂質でできています。問題は、脂質の中身です。ピーナッツの場合、摂りすぎるとよくない飽和脂肪酸は、約20%。残りの約80%は、身体にいい不飽和脂肪酸です。不飽和脂肪酸の内訳は、オメガ6と呼ばれるリノール酸が約30%。残りのうち約半分は、オメガ9と呼ばれるオレイン酸です。
オレイン酸といえば、健康にいいからたくさん摂りましょうと言われるオリーブオイルの主な成分です。ピーナッツの脂質の中心であるオレイン酸は、その栄養的価値と共に、酸化されにくく安定性が高いために、ますます注目を集めています。
2019.06.05(水)
文=井上浩義