世界中でいま、ピーナッツに注目が集まっています。栄養バランスが優れているにもかかわらず、値段が安く、しかも美味しいから。
その健康効果を慶應義塾大学医学部の井上浩義教授・著『ハーバード大の研究でわかった ピーナッツで長生き!』よりご紹介します。
「食物繊維が高める整腸作用」で
エネルギーが大きいのに太らない
ピーナッツを食べると太ると思っておられる方は多いのですが、実際には食物繊維が満腹感をもたらすことに加え、排便を促すため、太ることはありません。
ピーナッツを食べたときの体重の増減については、たくさんの研究データがあります。有名なのは、15人の健常なボランティアに、通常の食事に加えて500キロカロリー(約100グラム)のピーナッツを8週間にわたって毎日食べてもらった、2002年の試験です。
カロリー計算からすると、ボランティアの人たちは平均3.6キロ太るだろうと予想されましたが、実際はキロ増にとどまりました。
1994年から96年に実施された14262人に及ぶ疫学調査は、ピーナッツを食べる人は、ほかにも各種の栄養をバランスよく摂っていることを突き止めました。
タンパク質、食物繊維、ビタミンA、ビタミンE、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などの摂取量が、ピーナッツを食べていない人よりも多かったという結果が出たのです。
ピーナッツを食べる習慣をもつ人には、健康に気をつけていたり、豊かな食生活を送っている人が多いということです。
この疫学調査では、ピーナッツを食べる人は食べない人に比べ、肥満指数のBMI(Body Mass Index)が小さいという結果が出ています。特に子どもは、この傾向が顕著でした。つまりピーナッツは、エネルギーが大きいのに太らない食品だといえます。
2019.05.31(金)
文=井上浩義