そのころ日本はまだ縄文時代末期だった

 一方青銅器が発達した斉や魯では、祭祀や儀礼の場で用いられる青銅器について、周から受け継いだ意匠や文様、さらに各地の影響も受け、技術的にもデザイン的にも、多彩な発展を見せた(ちなみにこの時点で日本は縄文時代の末、晩期に差しかかっている)。

会場風景(秦・龍)

 そして紀元前221年、日本が弥生時代を迎える頃、ついに始皇帝の下で全土を掌握し、国ごとに異なっていた度量衡や文字、貨幣を統一して社会体制を大きく変えた「秦」、三世15年で倒れた秦の諸制度を継承しつつ、儒学を奨励し、統一王朝の永続的な基盤を築き、秦を凌駕する広大な領土を治めた「漢」が勃興。続く三国、南北朝、唐、宋──と千年にわたる栄枯盛衰が、王朝を代表する文物によって語られていく。

会場風景(前漢・俑)

 各々の展示物が雄弁に示す文化やその出自、価値観の驚くほどのバリエーションに、現在「中国」と呼ばれている領域のあまりの広大さ、そこで生きる人びとの多様さ、彼らによって織り成されてきた歴史の複雑さと厚みを、あらためて思い知らされるのだ。

日中国交正常化40周年 特別展「中国 王朝の至宝」
会場 東京国立博物館 平成館
会期 2012年10月10日(水)~12月24日(月・休)
休館日 月曜日 ※ただし12月24日(月・休)は開館
料金 一般1500円
問い合わせ先 03-5777-8600(ハローダイヤル)
URL www.china-ocho.jp
<巡回予定> 
神戸市立博物館 2013年2月2日(土)~4月7日(日)
名古屋市博物館 2013年4月24日(水)~6月23日(日)
九州国立博物館 2013年7月9日(火)~9月16日(月・祝)

Column

橋本麻里の「この美術展を見逃すな!」

古今東西の仏像、茶道具から、油絵、写真、マンガまで。ライターの橋本麻里さんが女子的目線で選んだ必見の美術展を愛情いっぱいで紹介します。 「なるほど、そういうことだったのか!」「面白い!」と行きたくなること請け合いです。

2012.10.27(土)