ベルリン在住の料理家・あっこさんが提唱する、「スポンテニアス」な日々の料理。旬の食材を安く買って、冷蔵庫やストックにあるものと、気ままにインプロバイズ(即興で作る)! 超便利な常備食材と、季節の野菜を組み合わせたレシピをご紹介します。
保存食にもなる
栄養豊富な豆を使おう!
こんにちは。ベルリン在住あっこです。
米や乾麺を常備している方は多いと思いますが、意外と忘れられている保存食材に豆があります。乾燥したもので2年以上保存できるので災害時用の蓄えにも向いています。
長期保存できるとは言え、棚に埋もれさせないように使い切りたいもの。買って棚に入れておいて、思い立った時に使って、また新しいものを買うというように、ゆっくりサイクルさせると良いと思います。
豆は一晩水につけておくという工程が面倒と敬遠されがちですが、料理によっては缶詰よりも自分で戻した方が断然美味しくなります。
私はやる気のある時に水で戻して次の日の朝、炊きます。夜寝るときにパチパチと豆が大きくなっていく音を聞くのも癒されて好きです。
2年以上経ってしまった豆でも水につけてみましょう。2日ほど冷蔵庫に入れておいて豆が大きくなっていればまだ生きている証拠! 食べられます。
ベルリンで日常的に食べられている豆はひよこ豆でしょうか。ドイツはトルコの次にトルコ人が多く住んでいる国なのでアラブ料理が一般的です。
フムス(茹でたひよこ豆に、ニンニク、練り胡麻、オリーブオイル、レモン汁などを加えてすりつぶしたアラブ料理)などは日常的に食べられています。フムスは缶詰でも手早く美味しくできます。
ひよこ豆は高タンパクで鉄分やビタミンBも豊富。体を鍛えているゲイの友達は高タンパクだからとフムスを食べて筋トレしています。
満足度も高いので米や麺の代わりにもなるし、保存や栄養の面からも、もっと注目されても良い食材ではないでしょうか。
前日に水で戻すのはプレッシャーだという方にはレンズ豆という味方がいます。レンズ豆は水につける必要がなくすぐ調理できて、こちらも高タンパクで鉄分が豊富。
「時間がないけど忙しいからちゃんと栄養をとって体力をつけたい、でも疲れてて食べたらすぐに寝たいから胃に軽いもの!」なんていう時の味方です。
玉ねぎやニンニク、生姜、スパイスを炒めてからレンズ豆と一緒にゆでて、バーミックスを使えば30分以内に消化に優しいスープができます。レンズ豆はアーユルヴェーダでもよく使われる食材です。
1年ほど前、友達のヴィーガンポットラック(持ち寄り)パーティで、友達の彼氏(アフリカ系アメリカ人)が作ってくれたアフリカ料理を食べました。
ご飯に小さいマカロニとレンズ豆が混ざっていて、トマトソースとひよこ豆と揚げてサクサクにしたオニオンをのせて食べました。
素朴で美味しい食べ物でした。作った人も料理名を知らなかったのでぼんやりとアフリカ料理……と記憶していました。
それから数カ月後、偶然入った食堂でこの料理がコシャリというエジプトのソウルフードだと知ります。このお店ではシナモン味のピスタチオがかかっていて、ホーローの白い小さいボウルに入っていました。
味はシンプルなトマトソース。たっぷりのせたサクサクの揚げ玉ねぎのコクと甘み、ピスタチオもシナモンシュガーで甘くて、そこにお好みでテーブルにセットされていた唐辛子とパクチーのソース「シャッタ」やニンニクやお酢を混ぜて食べます。
この異国情緒にすっかりハマってしまい、いろいろネットで検索して試しながら自分のレシピを考えてみました。
2018.10.15(月)
文・撮影・レシピ考案=あっこ