一冊の本が、ここのところマニアックなTVウォッチャーの間で話題を呼んでいる。その名は『2時間ドラマ 40年の軌跡』(東京ニュース通信社)。「土曜ワイド劇場」「火曜サスペンス劇場」をはじめとする2時間ドラマの歴史を、制作現場のスタッフによる証言や各局の内部資料などを用いて見事に掘り下げた快著だ。
電通、NHKなどを経て現在は阪南大学教授を務める著者の大野茂氏と語り合うのは、2時間ドラマファンを自負するライター・評論家の速水健朗氏。さあ、「土ワイ」や「火サス」のディープな世界へようこそ!
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米国製テレビ映画の真似から始まった
![大野茂氏(左)と速水健朗氏(右)は、この対談が初の顔合わせとなった。が、意気投合し、予定の時間を超過しても会話は盛り上がり続けた。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/3/-/img_b3fc8a308601920a5079f2beb8e62cf1147497.jpg)
速水 今日は2時間ドラマのことをたっぷりお伺いしたいと思います。
大野 よろしくおねがいします。
速水 今では高齢者向けだと思われている2時間ドラマですけど、かつては違いましたよね。
大野 速水さん、何年生まれです?
速水 1973年です。
大野 「土曜ワイド劇場」(テレビ朝日系)の放送開始が1977年ですから、速水さん世代が物心ついた頃に2時間ドラマが新しく登場してきて、そこから全盛期へという感じだったはずです。
速水 なるほど。
![2時間ドラマウォッチャー垂涎の貴重な資料を次々と繰り出し、番組制作の裏側を語る大野氏。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/9/-/img_c9a81572bdb9f02cbe96c7a2250e6fce152529.jpg)
大野 2時間ドラマは、アメリカのテレビ映画を日本でも真似して作ろうと始まったんですね。当時は、民放各局に映画の放送枠がたくさんあって、作品の取り合いをしていました。アメリカの映画だけじゃ足りなくなり、香港なんかからも買い付けるんだけど、それでも足りない。で、困ったな、といった時に目をつけたのが、テレフィーチャーと呼ばれるアメリカのテレビ映画でした。ハリウッドの斜陽期にスタジオが空いているっていうので2時間のテレビドラマがつくられるようになったんです。
速水 それを買い付けたと。
2018.10.11(木)
構成=速水健朗
撮影=深野未季
写真=文藝春秋