いつでも全力投球それがいちばん私らしい

 夜7時の取材開始とは思えぬ晴れやかな笑顔。今年1月から法律事務所で働き始めたばかりの新米弁護士の立場は想像以上に激務だ。昼食抜きは日常茶飯事、日中の化粧直しをする暇もないほどだという。しかし、疲労感は一切伝わってこない。昨夜は3時間ほどしか寝ていないというのに、お肌だってピカピカだ。

「髪振り乱して、という言葉がぴったりの毎日で、布団に入ったら3秒で眠りに落ちるくらいだから、体も脳も疲れているとは思うんです。でも、私自身は、まったく疲れを感じていなくて。人も出来事も含め、新しい出会いに毎日ワクワクしっぱなし。同室の先生には『いつもニコニコしてるね』なんて言われます。フジテレビに入社したての頃も、毎日がむしゃらで楽しかったけど、40歳になった今、あの頃と同じ感覚をまた味わえるなんて、幸せですよね」

 仕事とプライベートの境界線がなく、仕事で得た充実感がそのまま人生の充足につながる。そんな性格ゆえに、アナウンサーのキャリアを積み、ゆとりが増えてくると、その先の自分について考えるようになった。

「新人の頃は、スタジオ収録の後にロケがあったのに、徐々にスタジオの仕事だけになっていきました。普通なら早く帰れて嬉しいと思うんでしょうけど、私は嫌でしかたなかった。後輩に道を譲らなきゃいけないとわかっていても、自分が落ち着いてしまうのが嫌で、『これほど力を持て余しているのに、こんなにいいお給料を貰っていいんだろうか』と本気で考えていました」

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2012.06.18(月)
text:Yuki Imatomi
photographs:Tamihito Yoshida

CREA 2012年7月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

女が会社を辞めるとき

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