ランズエンドで見た
愛の向こうにあるもの
「ラバーズビーチ」と名付けられた砂浜が、メキシコ北西部、バハ・カリフォルニア半島南端に位置するロスカボスの、カボ・サンルーカスにある。この街の「ランズエンド」という岬は、ロスカボスでも有数の観光名所だ。
ランズエンドは半島の南端が海に落ち込むポイントで、「Land's end」の名の通り、ここで地が終わり、その先にあるのは広大な海のみ。またバハ・カリフォルニア半島とメキシコ本土の間のコルテス海と太平洋が交わる場所でもある。
ランズエンドにはふたつのビーチがあり、コルテス海側にある小さなビーチの名前を「ラバーズビーチ(恋人のビーチ)」という。
ラバーズビーチは岩石に囲まれているため陸路からは行くことができず、ボートなどで上陸する。ラバーズビーチの向こう、太平洋側にはもうひとつビーチがあり、ふたつはつながっていて歩いて行き来ができる距離。
そしてラバーズビーチの向こう側にあるのは……なんと、「ディボース(離婚)ビーチ」。
コルテス海側にあるラバーズビーチは、湾に面しているため波が穏やかなので「恋人のビーチ」。一方ディボースビーチは、その先になにもない太平洋の荒波をもろに受け、非常に波が荒いことから「離婚ビーチ」と呼ばれているのだという。
愛の向こうにあるのは離婚!? 愛と離婚は陸続き!? 愛と離婚は容易に到達できない場所にある!? 愛ってなんだかムズカシイ!!
非日常の風景を求めてロスカボスへ来て、いきなりまさかの愛と離婚の禅問答。旅が終わるまでに、果たして答えは見つかるのだろうか……。
愛と離婚の関係を考えはじめてヒートアップした頭を冷やそうと、ランズエンドを一望するリゾート「ザ ケープ ア トンプソン ホテル」へ向かった。荒々しいディボースビーチを目にした後に、ラバーズビーチ側からランズエンドを眺めると、なんだか穏やかな気持ちになれたのは、気のせいではないかもしれない。
アメリカ・ロサンゼルスから飛行機で約2時間半のロスカボスは、古くからハリウッドセレブ御用達のリゾート地として発展してきた。ビーチ沿いには豪奢なリゾートが立ち並び、マリンアクティビティに興じ、バケーションを満喫する人たちで一年中賑わっている。
乾いた大地とサボテン、波が打ち付けるごつごつした岩、乾燥地帯でオアシスの存在を意味するパームツリー。それらロスカボスの風景をモダンにデザインに取り入れた「ザ ケープ」も、セレブに愛されているラグジュアリーリゾートのひとつだ。
ルーフトップバーからは、ランズエンド方面に沈む夕陽を眺めることができ、愛を語るにはぴったりのシチュエイション。予約をすれば、宿泊ゲスト以外でも利用できる。
2018.06.25(月)
文・撮影=請川典子