シートならではのアイディアは
まだまだ続きがあったのだ
はっきり言って、シートマスクはもう終わった……そんな見方もあったほど。もうほとんどのメーカーがシートマスクを作り、市場にも多種多様な製品が溢れている。しかも紙製のシートに美容液を含ませるという単純な構造上、シートの質を良くするか、美容液をより多く含ませるか、はたまた形を面白くするしか、やることがないアイテム。もはやこれ以上進化はしないだろうというまでに成熟してしまったアイテムだから、作るほうも使うほうも、なんだかもう飽きていたというのが本当のところ。
確かにシートマスクは、使えば必ずその場で違いを見せてくれる。だから近年最大のブームを作ったわけだが、最初は1枚1,000円以上する高級品だったのが、それじゃあ続かないよね、ということで極めて安価の“毎日でも使えるようなシートマスク”まで登場していた。ブームの終わりを象徴するように。
でもやっぱりそれでは終わらなかった。まさに第二世代のシートマスクが、第二次ブームを起こそうとしているのだ。まずなんといっても、シートマスクの未来を思い知らせることになった衝撃の新製品が、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのベンチャー系発明ブランド、フローフシからデビューして業界をあっと言わせている。
顔の絵が描かれたシートマスクは以前からあったが、それがお遊びではなく、エンドミネラルなどの独自の美容成分をインクにして印刷されていて、マスク中にそれが溶け出すという仕組み。美容ツボの特殊プリントも本格的で場所も正確。さまざまな配慮が全く気休めではなく効果に繋がるという、見事な傑作ができあがったのだ。
それだけじゃない。顔全体に長く留めおくからこそ、その時間をフルに活用し肌全体の常在菌のバランスを整えるという、シートならではの仕事を課したのだ。
それはシートマスクの役割そのものを一気に増やすような発見であり、停滞していたマスクの市場を一気に広げるきっかけとなるはずで、やっぱりフローフシって凄い。こういうブランドが出てくると、終わったアイテムが次々にもう一度命を吹き込まれることになるだろう。
2018.01.04(木)
文=齋藤 薫
撮影=釜谷洋史