「焼き菓子の里」という店名に魅かれて訪れてみると、お店は田舎ではなく、大阪の街中にありました。東淀川区役所から徒歩ですぐ。幟と手書きの看板が目印の小さなお店です。
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右:ほっこりした雰囲気の店内。
中に入ると、色々な焼き菓子やクッキーが壁面までいっぱい並べられています。すべて、ご主人・古井和也さんが奥の厨房でひとりで作ったもの。プライス表示の手書きの説明も包装も、手作りっぽくて心が和みます。
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古井さんは、1979年生まれ。調理師専門学校と製菓専門学校を卒業後、勤めたのはイタリア料理店。スーシェフ(副料理長)になっていましたが、「お菓子の技を磨きたい」と、心機一転。
アルバイトでお金を貯めてドイツの菓子職人プログラムに参加します。
「ウィーンに憧れていたのに、間違えてドイツに行ってしまいました」と古井さんは苦笑い。
ルクセンブルク王室御用達の「オーバーワイス」で1年、南ドイツの老舗「カフェ・ベルナー」で7年働き、お菓子の原点ともいえるドイツの古典菓子に魅せられます。チョコレートのコンテストにも出場。
幅広い技を身に付け、難しいマイスターの資格も取得して、2014年に帰国。パン屋のお菓子部門で働きながら、材料探しなどを進め、2016年11月に自店をオープンしました。
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「一度食べたら忘れられないお菓子。何カ月か経ってから思い出して、また食べたくなって、食べたら、ほっこりするお菓子。心に残るお菓子を作りたいんです」
そう語る古井さんが、「食べてみてください」と、まず差し出したのが「ほろほろ」。
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その名のとおり、口の中でほろほろっと崩れるような独特の食感。スペインの「ポルボローネ」というお菓子で、日本ではスノーボールと呼ばれます。でも、古井さんが作ったものは、口に入れた瞬間に消えてしまうキレの良さにびっくりします。佐賀県産の嬉野ほうじ茶入りは、消えてしまった後に、ほうじ茶の香ばしさが口いっぱいに広がりました。
古井さんは、小麦粉を25分余りしっかりローストして、さらりとした口溶けを追求。バターを焦がして、香ばしいリッチな味わいにしています。「焼き時間が1分多くなったら、硬くなってしまう」まさに、一度食べたら、忘れられなくなる、消える食感のお菓子。抹茶、いちご、アールグレイなど、7種類あるそうです。
2017.09.24(日)
文・撮影=そおだよおこ