素材にこだわる
季節のマフィンも楽しみ!
また、季節毎にいろんな種類が登場するマフィンも、古井さんこだわりの逸品。大人気で、早々に売り切れてしまいます。
むっちりしているのに柔らかく、噛むうちにすうっと消える食感にうっとり。一度で虜になる人も多いとか。「水分量を多くして、粉の量を減らしています。グルテンをわざと出している。洋菓子研究家・加藤千恵さんとデパートのイベントで会い、自分の理想どおりにマフィンを焼き上げるおもしろさを知りました」。
取材時には、オーブンでローストしてから天日干しし、赤ワインに漬け込んだイチジクを使った大人味のものや、母親の故郷・佐賀県の庭になっていたブルーベリーを入れたさわやか味、季節のフレッシュフルーツをトッピングしたジューシーなタイプがありました。
ドイツで長く修業した古井さんですが「和の材料がとてもおもしろい」とにっこり。佐賀県の米粉や嬉野のほうじ茶、アールグレイ紅茶。岐阜県郡上八幡の小那比茶や高山の米麹味噌。石川県珠洲の塩……。家族旅行で見つけた食材を、積極的にお菓子に使用しています。
佐賀県の米粉は「ふぃなんしぇ」に。「佐賀県にいる叔父が栽培した新米を挽いたもの。コーンスターチではなくライススターチを使って、米100%にしています。グルテンフリーの和ふぃなんしぇ」と古井さん。
三重県の米油、飛騨高山の米麹味噌を合わせたものは「米米米」とネーミング。アーモンドプードルを使わず、きな粉とすりごまで、まさに和の味わい。
岐阜県郡上八幡の小那比茶の香ばしいお茶の香りを生かしたものもあります。
どちらも日本茶にぴったり。他にない風味です。
同じフィナンシェでも、一方では、小麦の全粒粉とアーモンドプードルを使用。こちらもこだわりたっぷりの味わいです。
ノルマンディー産発酵バターの芳醇な香りと味わいの「ノルマンド」、さらに塩味を効かせた「塩キャラメル」。メイプルの風味が広がる「メイプル」、リッチなチョコ味の「ショコラ」。
さらに、きび砂糖を使い、さりげなくレモンが香る「香ばしマドレーヌ」。
どの焼き菓子も、塩味がきっちり効かせてあり、クセになるおいしさです。
しっかり焼かれたパウンドケーキにも魅かれます。
「欧州の香り」は、ヨーロッパ伝統のフルーツケーキ。食べるとブランデーの芳醇な香りに包まれます。
抹茶の風味とチョコの甘味のハーモニーを楽しむ「抹茶とホワイトチョコパウンド」、生チョコのようななめらかな口溶けの「くるみのブラウニー」も、コーヒーと一緒に楽しみたい大人のためのお菓子です。
2017.09.24(日)
文・撮影=そおだよおこ