vol.05 FRANCK MULLER(フランク ミュラー)
時計「トノウ カーベックス」
最近、ベーシックな時計に惹かれています。「ある程度の年齢になったらダイヤモンド入りのケースがいい」と思う時期もあったのですが、今はダイヤモンドの入っていない、ごくシンプルなモデルに目がいきます。あえてメンズの時計をユニセックスにつけるのも気分。ベーシックで上質なものを、さらっとつけているのが素敵だなと思うのです。
私にとって、フランク ミュラーの「トノウ カーベックス」は、ベーシックな名品時計と言って思い浮かぶ代表的なモデル。同じデザインでも、ダイヤの有り無し、ケースの色や大きさで、まったく別の時計にも見える奥の深いデザインですが、私は知的な佇まいのWGケースに茶のクロコダイルストラップが今の気分です。
そして、こういう名品時計ほど、どういうふうにつけるかが大事。タイムレスなデザインを「今」にフィットさせるにはどうしたらいいのか、服装はもちろん自分自身の雰囲気も含めてトータルで考えないと、単に古臭い人に見えるので要注意です。
今回は、ぴったりとしたニットに、だぼっとしたメンズのパンツで、シンプルな服だけどきちんと自分の世界があるモダンな女性をイメージしました。いい時計は一生ものだと思いますが、完成されたデザインを、今の自分と時代にどうフィットさせていくかを考えるのが、スタイルを進化させるのに必要なことなのです。
フランク ミュラーがまだ20代の頃、自ら創作した時計ケース。天才時計師フランク ミュラーの名を世界中に知らしめることになったモデルであり、今もメゾンを代表するアイコニックな時計。独自の3次曲線を描く立体的なフォルムで手首に美しく寄り添い、個性を代弁する。フェイスには精緻なギョウシエ彫りが施されており、放射状に光を放つ。
伊藤美佐季(いとう みさき)
ジュエリーディレクター、スタイリスト。フィレンツェに遊学、帰国後スタイリストに。つける人の個性を活かしたスタイリングは、女性誌のほか多くの女優からも支持が厚い。ジュエリーに関する講演などでも活躍。
Column
伊藤美佐季のSource of yourself
ジュエリーディレクターの伊藤美佐季さんが指南する、大人のためのジュエリーの選び方と、つけ方のエッセンスを連載でお届けします。
2017.08.30(水)
styling=Misaki Ito
photographs=Masami Naruo(SEPT)
make-up=Nobuko Maekawa(Perle Management)
hair=shuco(3rd)
text=Miwako Yuzawa