Magnificent View #1188
グラーツ(オーストリア)

(C)David & Micha Sheldon / Masterfile / amanaimages

 オーストリア第二の都市、グラーツ。その名はスラブ語の「小さな城」という言葉に由来する。15世紀にハプスブルク家の居城が置かれて以来、さらに発展した街だ。

 オスマン帝国に対する重要な防衛拠点でもあったこの街には、当時の最先端技術を駆使して城塞都市が築かれた。イタリアから招かれた建築家たちが築いたルネッサンス式の建造物は今も多く残り、一帯は「グラーツ市街の歴史地区」として世界遺産に登録されている。

 また、ここは400年以上の歴史を持つグラーツ大学や、世界的に知られるグラーツ音楽院を擁する、ヨーロッパ有数の文化都市でもある。同時に、肥沃な土地は多くの野菜を育て、穏やかな気候は上質のワインを作り出していることから、「グルメの首都」と言われるほど食も豊か。

 そんな歴史あり、文化あり、食ありのこの街の一年の最後を締めくくるものといえば、そこかしこに打ち上がる花火だ。中央広場やムーア川の周辺では、新年を心待ちにした市民が次々と花火を打ち上げ、にぎやかに。そして午前0時、シュロスベルクの丘に大きな花火があがり、街は新たな年を迎える。

Column

今日の絶景

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2016.12.31(土)
文=芹澤和美