アクシデントを経て深まるパートナーシップ

Ruth Yang(ルース・ヤン) ――弁護士 49歳
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Paul Boehl(ポール・ボール) ――銀行員 36歳

 ブラインドデートの約束は、約2年前の13日の金曜日。待ち合わせはローワーイーストサイドの隠れ家のようなバー。でもそこは閉店していたというバッド・ラックに見舞われ、ポールの提案でカラオケに流れることになった。

「結局歌ったのは僕だけだったんだ」

「カラオケは嫌いじゃないけど、ファーストデートではね……。しかも彼はなんと、ロッド・スチュワートの『アイム・セクシー』を歌ったのよ(笑)」

 ルースは3年ほど前に離婚、10代の娘がふたりいる。当時、特にパートナー探しに積極的だったわけではないが、それゆえ、初デートのハプニングも笑ってやり過ごせたのかも。ふたりはデートを重ね、2カ月後にはコスタリカへ旅行することに。が、ポールいわく、「ふたりの相性を試されるようなバケーション」になったという。車でジャングルの川を渡ろうとした時、なんと大事故に見舞われたのだ。「でも私たちは喧嘩することもなく、冷静に対処できたの。車は全壊して最悪の事態だったけど」と、ルース。「人生にはアクシデントがつきものだし、そういう時こそ考え方の違いがわかるもの。その後も、僕はルースとの違いから学ぶことが多いんだ」と、ポールも冷静に言葉を重ねる。

 ルースは弁護士、ポールは銀行のエグゼクティブ。共に社会的に大きな責任を担うふたりの間には、落ち着きや自信、成熟した空気が漂う。裏を返せば、仕事中は感情を抑え気味のため、週末は自然の中で気分転換が常のよう。

「キャンプやビーチなど、彼は私の娘たちも興味を持てることを考え、一緒に参加できるよう努めてくれます」

「父親ぶるつもりは全くないけど、彼女を愛しているから、彼女がハッピーでいられることをしているだけ。それに自然の中に身を置くと、自分がいかにちっぽけな存在かもわかるしね」。

 13歳の年齢差についても「全く感じない。同じことを一緒に楽しめる」と、ポール。ルースも「恋愛は年を重ねれば上手になるものでもない」ときっぱり。ふたりは今、家族ぐるみという初めての関係にトライしているという。

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2016.07.08(金)
Photo=Hiroyuki Seo(aosora)、Fumito Shibasaki(donna/still life)
Text=Akiko Ichikawa
Hair & Make-up=Tamami Mihara
Edit & Styling=Mami Sekiya
Coordination=Yasuyo Hibino(fish*co.)