国籍も年齢も宗教も、性別も越えた様々な愛のかたちがある。この街だから生まれた愛は、自由で自信に満ち、希望に溢れている。そんなNYで輝く4つの愛の話を前後篇の2回に分けてお届けします。
前篇では、南仏で出会ってNYに暮らすインド人とアイスランド人のカップルと、弁護士&銀行員のニューヨーカーカップルを紹介。薬指には編集部がリコメンドしたティファニーのリングが輝く。
インスピレーションを信じたカラフルな愛
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Einar Eidsson(エイナー・エイドソン) ――プロップデザイナー 46歳
インドとアイスランド、正反対の気候や風土の中で生まれ育ったふたりの出会いは10年ほど前の夏。それぞれの故郷からも、アルパナが住むNYからも離れた南仏のビーチだった。
「共通の友人が借りていた海の家にバカンスに招かれて。ビーチバレーで同じチームになり、彼がとても優しかったのが恋に落ちたきっかけ」とアルパナ。ビーチバレーが得意なエイナーだが「僕が怪我をした時に彼女がさっと出してくれたのがインド製の軟膏。その香りがとても印象に残っている」と振り返る。
馴染みのない土地の香りに惹かれるとは、エイナーの奥にある何かが目覚めたのかもしれない。その後はNYとアイスランドを拠点に遠距離恋愛を続けたが、ターニングポイントはサイキック能力のあるエイナーの妹の言葉だった。
「僕がNYのとてもカラフルな場所で布地を使って何かしているのが見えるって言うんだ。妹はアルパナのことは全然知らないのだけれど」
アルパナはNYで自分のファッションブランド(alpanabawa.com)をやっているが、カラフルでハッピームード溢れるデザインが特徴だ。アルパナは言う。
「私たちの運命は定まってると感じられたの。私は45歳だったけれど、このチャンスにトライするべきと思ったわ」
数カ月後、エイナーはNYへ移住し、2年後に結婚。よく言われるアイスランド人気質らしく、楽天的でのんびりしたエイナーだが「NYに住んで7年、僕も歩くのがやっと速くなったよ」と笑う。「前は、速くして! って怒ってたけど、今は私がついていけないくらい(笑)」とNY在住歴32年のアルパナ。
「インド人の考え方は地に足がついていてリアリスティック。私は20年以上NYのダウンタウンで小さい店ながらもビジネスを着実に続けてきた。一方、エイナーはプランが嫌い。正反対の性格だけれど、サポートし合っているわ」
カラフルで開放感あるアパートは、彼らが出会った南仏のリラックスした空気にも似ている。正反対の個性を持つ彼らが“カラフル”な愛を育てるために、NYはぴったりの場所のようだ。
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2016.07.08(金)
Photo=Hiroyuki Seo(aosora)、Fumito Shibasaki(donna/still life)
Text=Akiko Ichikawa
Hair & Make-up=Tamami Mihara
Edit & Styling=Mami Sekiya
Coordination=Yasuyo Hibino(fish*co.)