こだわりの素材でひとつずつ手作り

 材料は、強力粉と薄力粉をミックスした粉。こだわりの三重県尾鷲の海洋深層水で作られた塩。ドライイーストと発酵に必要な砂糖。バターと有機ショートニング。国産ハチミツとレモン果汁。「おいしいドーナッツのための最低限の味付け、香り付けです」と、山田さん。試作を重ねて工夫した絶妙な配合です。

左:材料は、小麦粉、塩、バター、有機ショートニング、国産ハチミツ、レモン果汁、ドライイースト、発酵のための砂糖。
右:まず材料をミキサーで混ぜ、1次発酵。

 以上を計量して、ミキサーで混ぜます。球状にまとめ、ホイロに入れて1次発酵。ふんわり大きくふくらんだら、50グラムずつに分割して丸め、平らにします。

 定番の「レーズン」は、カットしたレーズンを、「チョコ」はチョコチップを、それぞれ生地の上にリング状に並べて、手作業で包み込みます。

左:分割した生地を丸く平らにした上に、レーズンをリング状に並べて回りの生地でくるみます。
右: 夫婦で丁寧に共同作業。

 「レーズンもチョコチップも、生地に全て混ぜ込むと素早く簡単にできるのですが、もっとおいしく食べていただきたくて」と、なんと、ひとつずつていねいに包んでいるのです。

 それだけでなく、「揚げると、気泡が破裂して余分な油がしみ込んでしまうから」と、竹串を刺して表面の気泡を潰しています。「おいしいドーナッツを作るための手間は、惜しみません」と山田さん夫妻はにっこり。

左:チョコも、レーズンと同様にチョコチップをリング状に並べて回りの生地でくるみます。
右:生地の表面の気泡を竹串でていねいに潰します。

 2次発酵の途中で、指を使ってドーナッツに穴を作ります。丸く整えて、しばらく寝かせたら、いよいよ油に投入。1個ずつ穴に菜箸を刺してクルクルと回します。こうすると、均等に熱が伝わり遠心力で大きくふんわり。クルクルと油の中で回転するドーナッツが少しずつ色付いて、見るからにおいしそうに揚がります。

左:指で穴を作ります。
右:油で揚げる前の生地。

 「揚げたてが一番おいしいんですよ!」と山田さん。

 表面はさっくり。中はふんわり。ほのかな甘さと優しい塩味。油っぽさは全くありません。揚げたてを食べに、わざわざここまで来る価値ありの、格別のおいしさです。

2016.05.01(日)
文・撮影=そおだよおこ