集団戦ではなく、個人戦で生き抜くために
自分のポジションを自分で設計する。そのような若槻の仕事ぶりは、「みんな」から「わたし」へという社会の変化とも重なっているように見える。集団戦ではなく個人戦。集団の規範が中心の社会から、個人の選択が重視される社会へ。「限られた枠を奪い合う椅子取りゲーム」は、テレビの中だけでなく私たちの社会の現実でもある。会社の昇進枠も、予算の配分も、SNSのフォロワーも。椅子の数はいつも限られている。
そのような状況にあって、テレビをめぐる構造を分析し、そのなかを自身の能力で生き抜くフリーのタレント・若槻は、現代を生きる社会人にとってロールモデルのような存在なのかもしれない。しかも、その種の能力が抜群に高いモデルとして。彼女は言う。
「そりゃあ、分析してかないと生き残れないですよ。若かったら、旬だったらマネージャーさんとか偉い人がポンッて(仕事を)入れてくれますけど、もう30代後半になったら自分との戦いですから」(『あちこちオードリー』テレビ東京系、2021年5月5日)
