グァンティンが香港映画に出演するのは今回が初めて。出演オファーを受け、本人はかなり驚いていたという。
リー (グァンティンは)非常に面白い演技をする方だと思っていました。優しさや脆さをそなえた雰囲気がありつつ、複雑な内面や、時には爆発的なエネルギーを表現できる。本作の刑事役には彼こそがふさわしいと思いました。
マンユー 香港映画に出ることはひとつのチャレンジだったそうですが、とても喜んでくれ、ルイス・クーとの共演も楽しみにしてくれました。香港と台湾では演技のスタイルが異なるので、香港的なルイス・クーと、台湾的なリウ・グァンティンの化学反応をうまく起こせたのではないかと思います。
『トワイライト・ウォリアーズ』監督がプロデューサーに
『第八の容疑者』では監督・脚本家という関係だったリーとマンユーは、本作で初めて「監督」のクレジットを共有することになった。何度もタッグを組んできただけあって、強い信頼関係のもと、互いに切磋琢磨する創作活動ができたという。
リー 映画監督は孤独な仕事です。キャストやスタッフとは話し合いますが、同じ肩書きの人物がふたりいると、さらに優れた仕事ができる。もちろんそれは、互いの意見が一致する、うまくコミュニケーションができる相手だから。よりよい脚本と演出を目指し、たくさん喧嘩しましたが、その作業がなければこの映画は完成しませんでした。

マンユー 香港人のスタッフは10人くらいで、あとはマレーシアの現地スタッフ。マレーシア人と中国人、台湾人が混在するチームで課題も多かったのですが、監督が2人いたおかげで役割を分担し、スムーズに撮影を進められた。短い時間で最高の効果を得られたと思います。

リーとマンユーを強力に支えたのが、『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』監督のソイ・チェンだ。リーとは長年ともに仕事をしており、本作ではプロデューサーとして全面的に関わった。リウ・グァンティンの起用を提案したのもチェンだったという。
リー ソイ・チェンは脚本から役者、撮影、照明、編集に至るまで、さまざまな段階で意見やアドバイスをくれました。もっとも、彼は僕たちの意見を最大限に尊重してくれるんです。僕たちが撮りたいもの、撮ったもの、作っている映画のビジョンがクリアであれば、できるかぎり最高の到達点にたどりつけるようサポートしてくれました。

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- 文=稲垣貴俊
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