新作のたびに、常識を覆す法則が打ち出されるのは、もう快感!
左:優れたカバー力ながら、スポンジでスタンプを押すように塗ると素肌のような艶肌が完成。ラヴィッシンググロウ ソリッドファンデーション 01、リフィル 5,000円、ケース 3,000円、スポンジ 1,000円
右上:絶妙な光と艶で立体的なアイホールを作り出すアイカラー。キッカ ニュアンスカラーリッド 04 2,800円
右中:透明感のある2/5発色でふっくら美しい唇に。メスメリック リップスティック 24、25、26 各3,800円
右下:薄膜を刷いたように唇の色と形を自然に補正。メスメリック リップラインスティック 04、05 各2,800円/カネボウ化粧品
最近「キッカが面白い」という声をよく耳にする。いや、もちろんRMKをはじめ、アディクションやTHREEなど、ニューヨークで活躍してきた日本人アーティストがプロデュースするメイクブランドは、明らかに他とは一線を画す“洗練された提案”でいずれも目を離せない存在となっている。
でも、キッカへの注目にはまた別の意味があるのだ。キッカには、まったく新しいメイクの法則がある。それも、今までの常識をすっかり覆してしまうような理論が、毎シーズン展開されるのだ。だから最近は、キッカから次は何が出てくるのか、まったく新しい興味で目を離せなくなっている。
たとえば、大ヒットとなったメスメリック リップスティック。一見何の変哲もない口紅に見えるが、これは“2/5発色”という新しい処方を提唱した。文字通り、発色をあえて半分以下、2/5に抑えているわけだが、キッカはここに今までの口紅の常識とは真逆の法則を乗せている。
ともかくコスメ界は終始一貫、“口紅は発色がいいほど優れた口紅”と訴えてきた。発色がいい口紅ほど人をキレイにすると……。でもこの“2/5発色”提案は、“発色のいい口紅”を暗に否定。「人を美しくするのは、キレイな澄んだ色を淡く発色させる口紅」と言い切ったのだ。
さらにもうひとつ、これまでの提案は、「なじみ色ほど正しい」的な考え方があったわけだが、“なじむ色”より“キレイな澄んだ色”こそ人をキレイに見せると主張している。その提案が見事大当たりだったことは、メスメリック リップスティックの大ヒット、そしてベスコス総なめに明らか。
それだけじゃない。同じメスメリックシリーズからデビューしたのは、リップラインスティック。一見リップライナーのようだが、じつは“擬似唇”をつくる一本。少女の唇のごくごく自然な赤みだけをうっすら加えていくという艶なし口紅で、やっぱり前例のないタイプ。これで唇をつくると“素顔っぽいのにフレッシュでイキイキ”、ちゃんとキレイになれている。まさに少女の唇に見えることが、アンチエイジングになるのだ。なるほど、これは素顔のままキレイになれるマジック。
2016.03.01(火)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫