◆ 深川製磁
時は明治。1900年に開催されたパリ万博に高さ2メートルもの豪華な大花瓶を出品し、金牌を受賞したのが深川製磁の初代、深川忠次だ。有田ならではの緻密な文様と色づかいが施されている一方で、高さ2メートルというダイナミズム。そしてこの作品の完成を可能にした深川製磁の高い技術力と心意気に、当時の人々もさぞかし驚き、感心したことだろう。深川製磁の原点は、まさにこのときにある。
今も変わらず自社内で粘土を精製し、約600種の絵具を調合。100人に及ぶ職人の手仕事で、“フカガワブルー”と呼ばれる澄んだ瑠璃色は生まれている。この素晴らしい財産をもとに、「伝統技術を持ち続けているからこそ、革新ができる」と4代目社長の深川一太さんは言う。
そんな深川製磁の魅力をたっぷり味わえる「チャイナ・オン・ザ・パーク」にも足を運んでみた。緑豊かなエリアに広がる広大な敷地の中に、ギャラリーのほか、アウトレットショップ、レストランを完備。ギャラリー「忠次舘」では、パリ万博に出展した大花瓶を見ることもできる。
「古いものと新しいものをはっきり分けたくはない。時間をかけてつくられたいいものは、必ず残っていきます。私たちは、今、100年先のアンティークを創っているのです」
深川製磁(ふかがわせいじ)
URL http://www.fukagawa-seiji.co.jp/
●深川製磁本店
電話番号 0955-42-5215
営業時間 9:00~17:00
定休日 無休
●チャイナ・オン・ザ・パーク
電話番号 0955-46-3900
営業時間 9:00~17:30
定休日 火曜
「ARITA SELECTION きんしゃい有田豆皿紀行」
有田の地で日本ではじめて磁器が焼かれた1616年から今年で400年。それを記念した「きんしゃい有田豆皿紀行」プロジェクトでは、26の窯元の豆皿を紹介している。
» 特集「400年の歴史を手のひらにおさめた“豆皿”から始まる有田焼をめぐる旅」トップへ
佐賀・有田焼の窯元を訪ねる
2016.03.25(金)
取材・文=嵯峨崎文香
撮影=山元茂樹
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