ある日ふらりと立ち寄ったショップで、たくさんの素敵な豆皿に出会った。直径6~10センチ、手のひらにすっぽりおさまるほど小さなお皿なのに、透き通るような白磁の上に紅や藍色の繊細な絵が描かれていて、とても上品。「このお皿に、なにをのせる? カップケーキ、アクセサリー、それとも……」。磁器ならではのひんやりとした手触りを感じながら、楽しい想像は尽きない。
聞くと、これらの美しい豆皿は佐賀の有田焼だという。しかも1枚1,000円前後から購入できる。有田焼といえば、400年の歴史をもつ、日本が誇る伝統工芸のひとつだ。豪華絢爛な色絵の「高価で大きなお皿」というイメージが強かったから、正直、驚いた。
この小さな豆皿から感じたのは、新しくていきいきとした、強烈なエネルギーだ。時を重ねて極めた手仕事の確かさに加わった、新しい力。その力の源を、この目で見てみたい。むくむくと湧きあがった好奇心をおさえきれず、有田焼の里へ旅をすることにした。
そこで目にしたのは、いわゆる「旧き良き伝統工芸の里」ではない。現代を生きる職人たちの誇りと情熱に満ちた、日本の伝統工芸の未来の風景だった。
「有田焼」の常識を覆す新発想
名門窯元の新たなるチャレンジとは
有田焼の祖、李参平の住居跡に建てられた「李荘窯」、有田焼の歴史を紡いできた「柿右衛門窯」のふたつの窯元を訪ねた。新しい未来へのチャレンジはすでにはじまっている。
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見て、触れて、味わって
五感がときめく有田焼を体験する
女性も活躍する工房見学、次世代を担う若い陶工職人の作品が並ぶギャラリー、有田焼の器で目にも麗しい料理を提供するレストラン。有田焼の「今」を体感できるスポットを紹介しよう。
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日常生活に伝統美の彩りを添える
若きクリエイターが生み出す新しい有田焼
いつの時代も、技術を受け継ぎ歴史を刻むのは「人」だ。有田の地で窯を守り有田焼の未来を背負った、次世代の若きクリエイターをフィーチャーする。
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400年の時を経ていまなお進化中!
有田焼の新たな未来を訪ねる旅
現代のニーズに応える有田焼を提案する「福珠窯」、伝統の“フカガワブルー”を今に伝える「深川製磁」。ショールームやギャラリーを完備し、見応えたっぷりのふたつの名窯を訪ねた。
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「ARITA SELECTION きんしゃい有田豆皿紀行」
有田の地で日本ではじめて磁器が焼かれた1616年から今年で400年。それを記念した「きんしゃい有田豆皿紀行」プロジェクトでは、26の窯元の豆皿を紹介している。
佐賀・有田焼の窯元を訪ねる
2016.03.04(金)
取材・文=嵯峨崎文香
撮影=山元茂樹
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