美味しく焼くための下準備
レシピとともに完成写真も配られます。写真にはメニュー名がフランス語で書かれていて、文字からもイメージできます。「こうなるはず!」と祈るばかり。
丸鶏の内側を冷水でよく洗います。内臓は精肉店で取ってもらうよう頼んであっても、まだ細かいものが残っていることがあります。割り箸や3~4本を束にした竹串などを使ってゴリゴリとこそげ取ります。ここで取りきらないと臭みが残るので頑張りましょう。
水洗いしたらキッチンペーパーで水分を内側から拭き取ります。水分が残っていると焼いた時に味が悪くなるので十分に取りましょう。続いて外側もペーパーで押さえるようにして水分を取ります。
首を落とします。お腹を上にして、右利きの場合は首を左側に置きます。絶対に胸肉に傷をつけてはいけません。第1回目でも説明したようにローストチキンは首の皮で蓋をするので皮を切らないように気をつけましょう。厚刃のペティナイフで皮をめくって、首の根元ギリギリの部分を包丁の“あご”を使って落とします。落とし方のポイントは、包丁をまな板と垂直にして包丁の“あご”を首の根元に当て、包丁の先の辺りに、左手を上から振り落とす“押し切り”にすると簡単です。
首の皮や骨の周りに脂肪がたくさん付いているので、きれいに取りましょう。次にフルシェット(胸肉にあるV字の骨)を外します。向きはお腹が上で首が手前。胸肉がハートの形になっているのが正しい向き。触ってみると逆V字の形に骨があるのがわかります。その場所を確認しながら切り込みを入れて骨を取りましょう。
きれいな逆V字のフルシェットが取れました。これを取ることで美しいデクパージュにつながります。折れていることもありますが全部取ってください。今度は背中を上にして首の皮で蓋をします。皮が長すぎたら右写真くらいに切ってしまいます。
首の皮と背中の皮を楊枝で留めたら、形を整えていきます。まずは手羽をたたみましょう。向きは背中が上でお尻が手前。手羽の先を持って、くるりと下から背中の上に回します。もし関節が折れてしまいそうだったら、お腹を上にして手羽を背中に引っ掛けるようにしてみてください。
次はももです。はじめに内側全体に塩とミニョネット(つぶしコショウ)を振ります。ミニョネットは2つのボウルを使って作っておきます。大きいボウルに粒コショウを入れて小さいボウルの底で押しつぶしていきます。少し形が残る、8分くらいにつぶしたらOK。かなり力がいりますよ。奥の方までしっかり塩・コショウをつけましょう。
2015.12.16(水)
文=高橋綾子
撮影=橋本 篤