LOVE:ハーブチキンのクレイポット
しっとりなめらかな舌触りにうっとり
虎ノ門|アンダーズ タヴァン
最近、美女たちに会って食べ物や手みやげについてお話を聞くという楽しい仕事が多い。そんななか、しょっちゅう出てくるキーワードは「アンダーズ 東京」。このホテルがオープンしたのは早いもので1年以上前だが、その人気は衰えるどころかアップしているような気さえする。レストランはもちろんのこと、手みやげでは小さくてカラフルなエクレアとトリュフの香りのフライドポテト(1階「BeBu」でテイクアウト)がとにかく人気なよう。実際食べておいしいし、かわいいし、アンダーズの魅力に私もやられっぱなしである。
というわけで、今回はその「アンダーズ 東京」51階にある「アンダーズ タヴァン」へ。早速メニューを開くと、先進的なデザインの中で意外なほどヨーロッパの古典的な料理が多い。例えば車海老や毛がにのカクテルソースやロブスターのビスク、そしてローストした豚肉に牛頬肉の煮込み……。なんだか楽しい展開だ! しかも、総料理長はオーストリア人だというが、日本中の食材が集結してるようだ。つまり、日本の食材でヨーロッパ伝統の料理を作るということ。器も和食器をアレンジしたもので、世界中から訪れるゲストがわかりやすく日本の優れた食材や食器と出合えるのは素敵な仕掛けである。
最初の前菜に選んだのは「アーティチョーク ブラッタのサラダ」。シェフのお気に入りというオーストリアの熟成ヴィネガーがとってもおいしくて、主役のアーティチョークやブラッタチーズがそれぞれに際立つようだ。底にもアーティチョークのペーストが敷いてあって、濃密! ヨーロッパの初夏の味、ですね。
そしてもうひとサラダ。「ロブスターとポテトのサラダ」はうれしいサマートリュフどっさり。やわらかなマーシュレタスの下にはロブスターがこれまたどっさり隠れている。夏らしい贅沢なサラダであった。
サラダをいただきつつ、肉の前菜も。こちらはシャルキュトリーも充実していて、今回は「国産牛F1のゼリー寄せ」をチョイス。ほろっとしたお肉と、スープのゼリーで寄せた根菜が彩りよく重ねられていてなんとも美しく涼し気なひと品。暑くてあまりもりもりと肉を食べる元気がない人でもおいしくいただけそうである。やわらかくてツルツル、喉越しから涼しくて、ゼリーが溶けて旨みがじゅわり。
ヨーロッパの伝統料理を食べるならスープを飲まない手はない。ボタンエビが入ったコーンスープと迷いに迷ったけれども、ロブスターのビスクを注文。こちらのロブスタービスクはカプチーノ仕立て。真っ黒なスープ皿にパースニップ(白にんじん)のピューレとうに、そしてお決まりのアリオリトーストが入っていて、そこに熱いスープを注ぎ入れてもらう。ビスクだけちょっとずつ飲んで甲殻類ならではの旨みを堪能したり、ふやけはじめたトーストをかじったり。うにとピューレが徐々に溶け出して風味が深まるのも楽しいひと品であった。
2015.08.26(水)
文・撮影=北條芽以