Magnificent View #801
フェズ旧市街(モロッコ)
(C) Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages
「世界一の迷宮都市」と呼ばれているのが、モロッコ北部にあるフェズの旧市街。なかでも、東西2.2キロ、南北1.2キロの城壁に囲まれた「フェズ・エル・バリ」と呼ばれる地区は、一度迷い込んだら、そう簡単には外に出ることができない。
道は見通しが悪いうえに、袋小路がいたるところにあって、街はまさに迷路そのもの。通りですれ違うのは、ロバを引く人々だ。千本もの路地が複雑に入り組み、坂道や階段も多いこのエリアは車が通れず、輸送手段は今でも、ロバや馬に頼っている。
そんな街の中には、モスクや共同浴場、広場、市場などが点在し、ここに初めてイスラム王朝の都が置かれた9世紀の雰囲気を偲ばせている。
世界一の迷宮は、時間をさかのぼる空間でもある。迷子を覚悟で歩けば、人々の営みの中に、1200年以上も積み重なる歴史を感じることができるだろう。
文=芹澤和美
