vol.17_Chloé
クロエの登場で日本女性の“香り”の意識が変わった
お気に入りの香りをふわっと纏う。もうこれだけで気分が上がる。香りってその人の存在や個性を印象づける大事なおしゃれ。「日本の女性は香りに消極的」と言われてきたけれど、最近は若い世代にも香りを楽しむ人が増えて嬉しい。その火付け役となったのがクロエ オードパルファムだ。日本では2008年発売。私も見事にハマって今もこの香りをつけている人とすれ違うと振り返ってしまう。それくらい印象的な香り、まったく新しいローズの香り。
「発売当初は百貨店のカウンターに行列ができて売り切れ状態が続いたお店も。10代から60代と幅広い世代から支持され、フレグランスでは稀に見るヒットとなりました。今のローズの流行はクロエから始まったのです」と話すのはコティ・プレステージ・ジャパン ブランド・マネージャーの鈴木祐子さん。
クロエは1952年、ギャビー・アギョンによって創設されたパリのファッションブランド。上質な素材を使った既製服“ラグジュアリー・プレタポルテ”という新しいジャンルを築き、歴代のデザイナーにはカール・ラガーフェルドやステラ・マッカートニーの名前も。ソフトで着心地のよい服は当時の堅苦しいファッションから女性たちを解放した。
「シックでフェミニン、自由な精神を持つ“クロエ ガール”の豊かで多彩な個性を表現したクロエのフレグランス。現在はシグネチャーラインを核にLOVE,クロエ、ラブストーリーの3つのラインを展開しています。なかでもシグネチャーラインの最初の香りとなったオードパルファムは発売以来ダントツの人気です」(鈴木さん)
調香師はミッシェル・アルメラック氏。フレグランスハウスとして有名なフランスのロベルテ社に所属し、30年以上にわたって名作を送り出してきたヒットメーカーでもある。シグネチャーラインのクリエイションは彼ともう1名のパフューマー(香りごとに違う)との共作で生まれるという。四角いガラス瓶に繊細なプリーツを寄せたボトルはクロエ コレクションのフォルトゥーニ・プリーツからインスパイアされたもの。職人技が光るシルバープレートの細工、テーマカラーごとに手作業で結ばれるリボンにもクロエを象徴する香りへのこだわりが感じられる。
2015.09.06(日)
文=吉田昌佐美
撮影=塚田直寛