マレー系のちまきは、ココナッツの実や干しエビが人気の具

 バナナの葉に包まれてショーウィンドウにかわいく鎮座。ナシレマッのつもりで買ったらあらま、これ甘いのね、と驚いたのが最初の出会い。それからハマってよく食べているのが「プルッ・インティ」です。

「プルッ・インティ」。マレー系ももち米が大好きで、「プルッ」(現地語でもち米のこと)料理は、多種多様。たとえば、ターメリックで黄色に色づけしたもち米をふかす「プルッ・クニン」は、日本のお赤飯のようにめでたいご飯。

 醤油味のように見えますが、もち米の上にのっているのは、甘い黒砂糖で味つけをしたココナッツの白い果肉の部分です。

 これも大好きです。バナナの葉で包み、炭火で香ばしく焼いた「プルッ・パンガン」。

ケダ州の屋台で出会った味。パンガンとは現地語で焼くという意味で、炭火で炙って提供。
中には干しエビを砕いてスパイスで味つけをした具が入っている。唐辛子の辛さはひかえめで食べやすい。この具はマレーシアのおかか、というイメージ。

 そして、中国系のちまきに一番近いのは、この「クトゥパ」でしょう。

左:コタバルのマーケットで購入した「クトゥパ」。ヤシの葉に包まれている。このクトゥパはマレー半島北部のタイプで、南部に下るともち米ではなく普通のお米を使う。
右:トライアングル形がかわいい。小豆入りで、ほんのり塩味。そのまま食べてもおいしいし、おかずと一緒に食べてもいい。

 いかがでしたか。お茶うけにしたり、おかずと一緒に食べたり、お祝いの食事にも登場する葉っぱで包まれたご飯、ちまき。

 先にもちょっとお伝えしましたが、マレーシアは、中国の暦で端午の節句にあたる月は“ちまきシーズン”。中国系の屋台やレストランでは、特別メニューにちまきが登場し、中国系の家は自宅で手作り。マレーシアに住んでいたころ、友人からもらう手作りちまきが本当においしくて、この時期が毎年楽しみでした。

 6月のマレーシアはちまきの季節。マレーシアの町は、ちまき色で染まっているのかな。

日本でもマレー系のちまき「プルッ・パンガン」を提供しているレストランがあります!

マレーアジアンクイジーン(東京都渋谷区渋谷)
URL http://www.malayasiancuisine.com/

マレーカンポン(東京都中央区八丁堀)
URL http://www.malaykampung.com/

マレーシアごはんの会 古川 音(ふるかわ おと)
「マレーシアごはんの会」にて、マレーシア料理店とコラボしたイベント、マレーシア人シェフに習う料理教室を企画・開催。クアラルンプールに4年滞在した経験をもち、『ニッポンの評判』(新潮新書)のマレーシア編を執筆。マレーシアごはんの会の活動のほか、情報サイト「All About」でのマレーシアライター、食文化講演も担当している。
オフィシャルサイト http://www.malaysiafoodnet.com/

Column

マレーシアごはん偏愛主義!

現地で食べたごはんのおいしさに胸をうたれ、風土と歴史が育んだ食文化のとりことなった女性ふたりによる熱烈レポート。食べた人みんなを笑顔にする、マレーシアごはんのめくるめく世界をたっぷりご堪能ください。

2015.06.11(木)
文・撮影=古川音