マレー半島とボルネオ島北部にまたがる常夏の国、マレーシア。実はこの国、知る人ぞ知る美食の国なのです。そこでこの連載では、マレーシアの“おいしいごはん”のとりこになった人たちが集う「マレーシアごはんの会」より、おいしいマレーシア情報をお届け。多様な文化が融け合い、食べた人みんなを笑顔にする、とっておきのマレーシアごはんに出会えますよ。

ドリアンの入門にふさわしいマレーシアという国

左:屋台で販売しているドリアン。ドリアン好きは、硬いトゲをものともせず、素手で持ちあげ、振ったり叩いたりして、おいしいドリアンを見極める。
右:ドリアンの殻を開けると、黄色の果肉が現れる。1個に5~7房入り。

 いつの日からでしょうか。クサイ匂いがイイ匂いに変わり、トゲトゲのワイルドな姿に胸がキュンとするようになったのは……。むかしは匂いが苦手で足早に通り過ぎていたんですよ。ところが、4年間のマレーシア滞在ですっかりI Love ドリアンに。今では、年に2回のドリアンシーズン(6~8月、12~2月頃)に合わせて、マレーシアの旅を計画しているわたしです。

 ということで、今回ご紹介するのは、果物の王様とよばれるドリアン。ドリとは現地語でトゲ(棘)という意味で、マレーシアを代表する果物です。

ドリアンは、熟れると枝からぽとりと落下し、自然に殻が割れる。そこから数日でどんどん発酵がすすむため、収穫してから1~2週間以内に食べ切る。

 ドリアンは、タイやシンガポールでも食べられます。でも、マレーシアのドリアンはすごいんです。何がすごいかというと、種類の豊富さ、そして加工品の充実度!

 マレーシアのドリアンは、おいしいと名の通った「ブランド・ドリアン」から、地方の田舎町で収穫された「カンポン・ドリアン」まで、多種多彩に市場に出回っています。地域ごとにドリアンの味が違い、それを食べ比べることができます。

 さらにドリアン好きのマレーシア人。ドリアンを使った様々な加工品も開発。ドリアンケーキ、ドリアンクレープ、ドリアンかき氷……など、まるで苺やマンゴーのようにドリアンを使ったスイーツが味わえるのです。

ルネッサンスKLホテルで食べたドリアンチーズケーキ。見た目は普通のケーキだが、生クリームにもドリアンの果肉が粒々状で入っているというこだわり。

 これらの加工品、ハッキリ言って、匂いは強烈。つまり、ケーキなのにクサイ。ところが、味は驚きのマッチング度で、わたしは目からうろこが何枚も落ちました。ドリアン初心者(いや、むしろ上級者か?)におすすめのドリアンスイーツは、3ページ目にたっぷり紹介しています。

 それでは、めくるめくドリアンの世界へようこそ。この記事を読めば、あなたもドリアンが食べたくなるぅ~!

2015.05.28(木)
文=古川音
撮影=古川音、三浦奈穂子