Magnificent View #535
アルファマ地区(ポルトガル)

(C) Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages

 15~16世紀の大航海時代に繁栄を築き、西ヨーロッパでもっとも美しい街と称えられたたリスボン。かつて隆盛を極めたこの街は今、郷愁に満ちた情景に包まれている。

 リスボンの中でも、ノスタルジックな色をより濃厚に感じるのが、旧市街のアルファマ地区だ。小高い丘に沿って張りめぐらされた狭い路地には石造りの家がひしめき合い、街はまるで迷路のよう。

 かつて貴族階級が暮らしていたこの一帯は、一瞬にして街が崩壊した1755年のリスボン大地震で奇跡的に被害を免れ、以来、中世の面影を残す街並みになったのだという。

 すれ違うのは、石畳の小道をガタゴトと音をたてて走る路面電車。日没を迎えた路地裏に響くのは、哀愁漂うポルトガル民謡ファドの音色。ときには迷路に迷いながら歩くのが、アルファマ地区散策の醍醐味でもある。

Column

今日の絶景

この広い地球上には、まだまだ知られざる素晴らしい景色がある。思わず息を飲んでしまう雄大な自然、ミステリーにあふれた驚きの奇観、そして、人間の文明が刻んだ偉大な足跡……。ここに、選りすぐりの絶景をお届けします。さあ、ヴァーチャルな世界旅行へと出かけよう!

2015.03.19(木)
文=芹澤和美