スパイスたっぷり! マレー系のチキンライス「ナシ・アヤム」

 マレー系民族が好む「ナシ・アヤム」。「ナシ」はご飯、「アヤム」はチキンを意味します。原型は「海南鶏飯」と言われていますが、マレー系の味の好みに合わせて変化したチキンライスで、クローブや八角、シナモンや蜂蜜などを効かせて甘辛に味付けした鶏肉をロースト。そして、その香辛料がたっぷりと含まれたスープで炊くご飯は、とても香り豊か! この芳醇な香りと鶏肉にしみ込んだ甘辛い風味が、マレー版チキンライス「ナシ・アヤム」の特徴なのです。

「ナシ・アヤム」の鶏肉にはスチームは少なく、ローストが一般的。ニンニクや生姜、チリのきいた甘辛のタレがたっぷりとかかっている。
ナシ・アヤムのお店で吊るされている、こんがりと良い色にローストされた鶏肉。香ばしいにおいが漂う店先でおいしそうな鶏肉を見ると、ついつい「ナシ・アヤムください!」とオーダーしてしまう。

 そしてこちらは、チャイナタウンや中国系の屋台でいただける、「チキンライス・ロースト」です。

 海南鶏飯が、鶏肉とご飯が別々のお皿に盛られ、そこはかとなく上品さを漂わせているのに対し、このチキンライスはご飯の上に大胆に鶏肉が盛られ、まさにがっつりと食べる雰囲気のひと皿。

 鶏肉は時間をかけてしっかりとローストされ、皮はパリッパリ! そして中のお肉はふわっと柔らか。鶏出汁がしみ込んだご飯にロースト肉の肉汁がしみ込んでいき、まさに鶏肉の旨味をとことんまで味わうことができる、マレーシアごはんの会イチオシのチキンライスです!

「チキンライス・ロースト」。鶏肉とご飯には醤油に似た風味のソースがかけられており、さらに別添えのスイートチリ、黒醤油をお好みでかけ、混ぜながら食べる。

2015.01.22(木)
文=三浦菜穂子
写真=古川 音、三浦菜穂子