「私インドに行くことにした。―2年。」

全日空「ココロノツバサ。」デリー便 CM

 安藤サクラ(彼女役)が少路勇介(彼氏役)にのんびりと言い放つ。全日空の「ココロノツバサ。」デリー(インド)便のCM。

 信頼し合った新しい関係のカップル像、ということでどうやら世間の印象は良いようですが、……本当ですか? 本当にそう思いますか?

 なぜデリー便のCMはこうなったのか。どうしてもこのCM制作の背景を考えてしまう。

 同シリーズのCMには、ニューヨーク便とヤンゴン(ミャンマー)便もある。3つのCMを見ると、どうやらこのシリーズは、単に旅行でなく何らかの目的で渡航先に長期滞在するというテーマにしたかったようです。

 さて、なぜ安藤サクラは2年もインドに行くのか。彼氏はなぜ一つも質問せず受け入れるのか。全く分からない。

 思うに、インドはいまだに「自分探し」用の国というイメージなんじゃないだろうか。具体的な目標もなく、いつまでもなんとなく「やりたいこと」を探してふらふらしている若者が「インドに行けば何かあるかも」と思ってしまうような。だから安藤サクラには特に目的なんかないのだ。そして、彼女はつきあった頃からこういう突拍子もない不思議ちゃんだったから、彼氏も驚きやしないのだ。

 で、こんな癖の強いヒッピー風の女性を、アイドル的な美形の女優に演じさせても現実味がない。そこで選ばれたのが癖の強い安藤サクラである!

 ということで背景と配役は読めたわけだが、こう見ると、インドのイメージが結局陳腐だ。そりゃかなり特殊な国なんでしょうが、「インド=不思議ちゃんの自分探し」みたいなイメージ、もういい加減古くないか!? もうそろそろインドを解放してやってよ!

 まあ、安藤サクラ=ヨガ講師説をとるのもアリですけどね。

2012/10/4