世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。
第57回は、小野アムスデン道子さんが、ビートルズの生地として名を馳せるリバプールの知られざる姿に関してレポートします。
リバプールの港は、大英帝国絶頂期を支えていた
私自身ビートルズの音楽が好きだから、行ってみたいと思っていたリバプール。言わずと知れたビートルズ誕生の町だが、ただそれだけではない。マージー川の港として、2007年で市制800年を迎えたという歴史があり、実はユネスコ世界遺産地区にも指定されているという由緒ある町なのだ。
河口には、ヴィクトリア女王の夫君の名に因んだレンガ造りの美しいアルバート・ドックがある。ドックとは、貨物船の荷物の積み降ろし、係船のために造られた設備で、このアルバート・ドックは1846年に開設されていて、当時は世界初の耐火性倉庫を持つ最新鋭のものだった。1980年代に再開発されて、レンガ造りの倉庫の外装は生かしながら、マージーサイド海事博物館、モダンアートに特化した美術館テート・リバプール、ビートルズ・ファンにはたまらない博物館のビートルズ・ストーリーやカフェ、店舗などが入り、水辺の洒落たエリアになっている。
このアルバート・ドックなども含む多くの歴史的ランドマークがあるリバプール中心6街区が「海商都市リバプール」として、2004年に世界遺産登録された。
2014.10.28(火)
文・撮影=小野アムスデン道子