CREA2026年秋号の「1冊まるごと人生相談」特集が、現在好評発売中! CREA WEBではその一部を抜粋してご紹介します。
今年も人気Podcast「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』」とのコラボが実現。ジェーン・スーさんと堀井美香さんに、読者のお悩みにじっくりお答えいただきました。心を太陽の向こう側へ導く、珠玉の金言をお届け!
【相談】長女が苦手
【お悩み】
私の悩みは長女と接するのがつらいということです。長女は高2で全日制に通っていたのですが、部活の人間関係に馴染めず、通信制に転校しました。今は毎日家にいて、ずっと一緒にいる状態です。いつしか長女が甘えて抱きついてきたりするとゾッとするように。自分のことしか考えていない長女が、こちらの状況を気にせず歌ったり踊ったりして、うるさいと感じてしまいます。「ママ私のこと嫌いなのかな」と言われたこともあり、このままではダメだと感じています。(51歳・女性・げんたけ)
堀井 これはさ、相談者さんが長女をいつまで愛せていて、いつから苦手になったんだろうっていう情報がちょっと少なかったから想像で話すんだけど……夏休みにずっと一緒にいるからイライラするのとは、やっぱり訳が違うんだよね。「なんで学校に行かないで家にいるんだろう」っていう相談者さんのイライラが根っこにあってさ。毎日顔を突き合わせているうちに、長女の存在自体が苦手になっちゃっているんじゃない?
スー そうだよね。「自分のことしか考えていない長女が、こちらの状況を気にせず歌ったり踊ったりして」とあるから、要するに、お母さんである相談者さんは、「家の中でそれをされることがすごくストレスです!」ってことなんだよね。全然焦ってない娘の様子に腹が立っているんだと思うな。
堀井 相談文に「子ども」ではなく「長女」とあるので、「子ども自体が苦手」ということではなく、他のお子さんと比較して、長女だけが苦手という状況なのかな? それと、この相談文から察するに、そもそも「母親だから子どもを無条件に愛さなきゃいけない」という母性神話に囚われて、自分を責めている部分もあるんじゃないかしら。
スー 母親は子どものことを優先しないといけない、とかね。
堀井 ずっと一緒にいる状態がつらいんだったら、相談者さんがパートに出るとか、図書館に行くとか、週に一日でもいいから外に出て物理的に離れた方が絶対にいいと思います。頭ごなしに「学校に行け」と言っても本人は変わらない時代だからね。このままふたりきりでずっと顔を突き合わせていたら、親子ってすぐこじれまくったりするから。
スー 親子であっても、相性は絶対にあるからね。無理はしすぎないでほしい。うちの母親はベタベタされるのが嫌いな人で、よく父親とふたりで怒られたりしてたけど、私自身はそれで「母親から愛されてない」とは全然思わなかったよ。母は私と物理的・心理的な距離をしっかり取るようにしていて、やれることはやるけど、ベタベタはしないという距離感でした。相談者さん自身も、娘さんと上手く距離を取ってほしいな。サードプレイス(第三の居場所)を作れるといいね。
堀井 うちの子どもたちは今はふたりともひとり暮らしをしていて、家族おのおのというか。ニュースを見て「今こういう詐欺が流行ってるから気をつけなさいよ」ってしつこくLINEしても既読スルーされます(笑)。でも、それぞれ自由に暮らしている今の距離感はとてもいいなと思ってる。家族って「毎日一緒にいる」のが前提じゃないから。誰かに何かあったときにはちゃんと集合してフォローしよう! くらいの感覚でいるとすごく楽です。
スー 私、堀井さんのお子さんふたりとも知ってるんですけど、一番危なっかしいのは堀井さんですからね!(笑)。親が危なっかしいと子どもがしっかりするっていうのは本当で。
堀井 夏休み明けに学校に持っていかなきゃいけない通信簿を、間違って捨てちゃうような母親でしたから(笑)。
スー 健康的なペースで自分の道を歩み、時に大暴れする母を周りが温かく見守るって素敵な家族ですよ。だから、「家族だから同じ空間にいなきゃいけない」なんてことは本当にないんだよ。ただ、「ママ私のこと嫌いなのかな」って娘さんに言わせてしまっている現状はやっぱり良くないね。
堀井 そうそう。これがしこりになって、不健康な関係の始まりになることもあるし。「親に愛されなかった」っていう思いを持たせると良くないよね。だから今のうちに、何か娘の好きなものをプレゼントしてあげるとか、好きなことを一緒にするとか、ちょっと贔屓をしてあげて、嫌な空気を「形としてゼロに戻す」のも手だと思います! まずは、お互いに上手く距離を取る工夫をしてみてね。
文=綿貫大介 写真=平松市聖 コラージュ=Nao/petitoto スタイリング=宮崎真純(likkle more) ヘアメイク=yumi(ThreePEACE)
CREA 2026年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
