悩みに“寄り添いすぎない”ふたりのやりとりが沁みる。ジェーン・スーと堀井美香が贈る言葉の処方箋とは？【OVER THE SUNのお悩み相談室】

好評発売中の「CREA」2025年夏号では、母娘問題、職場の人間関係から、性やお金の悩みまで。OVER THE SUN（ジェーン・スーさん、堀井美香さん）のおふたりをはじめ、みうらじゅんさん、叶姉妹さん、上沼恵美子さんなど様々な「人生相談の名手」に読者の悩み相談に乗っていただきました。あなたの悩みに寄り添う本誌より一部を抜粋してご紹介します。

CREA 2025年夏号

『1冊まるごと人生相談』

定価980円

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　ラジオでの相談回答数はなんと2000件超え。今やすっかり人生相談の名手となっているジェーン・スーさんと、もはや相棒といえる存在の堀井美香さん。

　ふたりの軽快なクロストークは幅広い層に人気で、Podcast番組「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』」では、ふたりが本音を交えて繰り出す、ユーモアと深みのある回答がリスナー（通称「互助会員」）を魅了している。

　そんなふたりは普段、お悩み相談とどう向き合っているのだろうか。

OVER THE SUNのふたりにとって人生相談とは？

いつの時代も人の悩みの本質って変わらない（ジェーン・スーさん）　

本当は相談に答えるのが得意じゃないの（笑）（堀井美香さん）

スー　私たちって実はお互いに相談し合ったことはないよね。「報告」をし合うことはあるけど。

堀井　私は自分がいろいろとつらかった時期に、スーちゃんに話を聞いてもらったことはあるよ。

スー　それも相談じゃなかったよ。「大変だね」って話を聞いただけ。

堀井　あの時はボロボロ泣いた（笑）。

スー　話をしているうちに、美香ちゃんが自分で考えをまとめて結論を出したんだよ。私も同じように美香ちゃんに愚痴を聞いてもらったりして、自分の思考を整理してる。

堀井　たしかにお互いにそうかも。そんな私たちに、互助会員のみなさんは相談を送ってくださってるんだよね。

スー　そういうことです。

堀井　でも私、本当は相談に答えるのは得意じゃないの。私自身はつらい思いとか苦い経験とかいろいろなことを乗り越えて強くなってしまっているので、気を抜くと相手にも「そんなの気にしなくていいよ。強い気持ちを持って！」みたいなことを言いそうになるから。

スー　それは私も同じだわ（笑）。

堀井　だから相談者さんにちゃんと寄り添えているかはいつも不安になる。スーさんみたいに、ちゃんと話を嚙み砕いて相談に乗っているのはすごいと思う。胆力が違う。

スー　そんなことないよ。それに美香ちゃんの経験則や価値観からの回答を聞きたい人も多いと思う。私が相談の仕事をこれだけできているのは、単純に不遜な性格だからだと思う。そもそも人の人生なんて全然わからないものだし、本来だったら知らない人の悩みになんて絶対に答えられない。でもそれができている時点で、よっぽど私は無遠慮なんだなっていう自覚を持ちながら日々お答えしています。

堀井　すでに自己分析がすごい！

スー　あと、私はこれまでいろんなお悩みを聞いてきたけど、いつの時代も人の悩みの本質ってさほど変わらないように思うんだよね。基本的にお悩みって3種類ぐらいに類型化できると思っていて。まずは自分の置かれた環境がつらいという悩み。次に、まだ起こっていない未来と、もう変えられない過去に関する悩み。そして現代社会の不都合や不具合に対する悩み。この3本柱がベースになっていることが多いと思う。あと、それは悩みじゃなくて「問題」だから然るべきところに相談して解決してください、という種類のものもあるけど。

堀井　さすが2000人以上の悩みに答えているだけある！　新聞、雑誌、ラジオ……お悩み相談コンテンツがずっと昔から定番として存在し続けているのは、どんな時代も人は相変わらず同じようなことを悩みながら生きているからなんだろうね。

ジェーン・スー

1973年、東京都生まれ。TBSラジオ「ジェーン・スー生活は踊る」、Podcast番組「となりの雑談」パーソナリティとして活躍。近著に『闘いの庭咲く女彼女がそこにいる理由』（文藝春秋）、『へこたれてなんかいられない』（中央公論新社）などがある。

堀井美香（ほりい・みか）

1972年、秋田県生まれ。2022年3月にTBSを退社しフリーランスに。様々な番組・CMでナレーションを担当する一方、自ら朗読会を主催するなど、多方面で活躍する。初主演を務める舞台『フェードラ―炎の中で―』が6月26日より東京・水戸で上演予定。

Podcast「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』」