2022年よりスタートした「CREA夜ふかしマンガ大賞」の歴代ベスト10を振り返り! ランクインした作品は映像化された作品も多数あり。2026年の始まりは、「思わず夜ふかししたくなる」マンガにどっぷり浸ってください。(※情報は初出時のものになります)


【CREA夜ふかしマンガ大賞2023】今年のベスト10発表!<前篇>第1位はモテる男子の悩める恋物語

CREA夜ふかしマンガ大賞とは…

マンガ好きの30名の推薦者とCREA編集部員、そして読者の投票により選ばれた「思わず夜ふかしして読みたくなる」そして、「いま、CREA読者に本当におすすめしたい」作品に贈る賞。2022年7月~23年6月に単行本の新刊が発売された(ただし、合計5巻以内)、もしくは、雑誌などに最新話が発表された作品から選出。

◆1位『いやはや熱海くん』田沼朝

 またひとり、マンガ界に新鮮な輝きを放つ〈スター〉が颯爽とデビューしました。高校1年生の熱海くんは〈非凡というわけではない〉のに目が離せないという意味で、大いに非凡なキャラクターです。

 際立った特徴といえば(派手ではないけれど)すっきり整った顔立ちで、非常にモテる。ですが、熱海くんは同性が好きな男の子。なんとなく昼休みを一緒に過ごす1学年上の足立くんが気になって、週1ペースで足立家で夕飯をごちそうになる仲に。足立くんの家族にも気に入られまくるのです。

 しかし、本作は「BL」でも「ブロマンス」でもありません。主人公および作品自体が、安易なジャンル括りを「必要としない」と宣言しているようにも感じられます。

 本作の特徴をひとことで言い表すなら〈超フラット〉。熱海くんは「男の人が好き」ということを隠してはいないけれど、だれかれ構わず言うべきではないと思っている。悩んではいないけれど、自分の〈本当〉はどこにあるのかをゆっくりと考え続けている。自分に正直で、自分にも他人にも尊敬と期待をほどよく持っている人です。

 そんな彼が〈自覚的に接近してみる〉人たちとの、滑らかな関西弁のやりとりにも心のマッサージ効果が。無駄な力がぬけていく―パワースポットのような作品です。

「読んだ後の人生に、ポジティブで静かなガッツをくれる作品です」(コミック編集者 伊藤絢子さん)

「ハイテンションでもコテコテでもない関西弁のやりとりがなんとも心地いい」(ブログ「マンガ食堂」管理人 梅本ゆうこさん)

「今年、友人や仕事仲間におすすめしている作品No.1」(honto電子書籍ストア コミック担当 荻野晶さん)

伊藤絢子(いとう・あやこ)さん
コミック編集者

文藝春秋編集者。元WEB少女まんがレーベル編集長。担当作に『鬼の花嫁』(スターツ出版)。

梅本ゆうこ(うめもと・ゆうこ)さん
ブログ「マンガ食堂」管理人

マンガに登場する料理を再現してブログ「マンガ食堂」で紹介。普段は会社員兼主婦。主な著書に『マンガ食堂』(リトル・モア)。

荻野 晶(おぎの・あき)さん
honto電子書籍ストア コミック担当

話題作からBLまでマンガ全般をこよなく愛し、月に100冊以上読む雑食派。マンガのキャラクターを讃えるアワード「マガデミー賞」の審査員も務める。

(「CREA夜ふかしマンガ大賞2023」第1位から第5位のつづきを読む)

次のページ 6位から10位は…?