『ラスト サムライ』の現場で映画の世界に魅了された

――大学でも映画を学ばれているように、大の映画好きを公言されていらっしゃいます。
ここまで映画を好きになったのは、12歳のときに初めて参加した映画撮影の現場に、圧倒された原体験からきていると思います。『ラスト サムライ』の撮影で、12歳の少年が強く惹きつけられたのは、物語をみんなで生み出し、体感していくことでした。
俳優は、物語をつくるうえでひとつのピースだと思っているので、演じることだけで満足だと感じたことは一度もありません。演じることを通じて、作品を生み出し、観てもらうことに幸せを感じています。「俳優なのに大学ではなぜ監督コースに入ったの?」と聞かれることがよくあるんですが、このような自分の考えからです。
――映画というものづくりの現場に、深く惹かれていらっしゃるんですね。最近は、ご自身より年下の俳優さんと共演する機会も増えてきたと思いますが、後輩との関係づくりで心掛けていることはありますか?
年齢とか経験とかが意味をもたない世界だと思っているので、年齢を意識することもなければ、それによって態度が変わることはありません。ほとんどみなさんのことを「さん付け」で呼びます。たまに「壁を感じる」と言われてしまうんですが(笑)。
強く願うのは、下の世代の方々にはのびのびやってほしいということ。僕はわりと旧世代の昭和的抑圧を良くも悪くも存分に味わってきたからこそ、後輩たちにはそういったことから解き放たれて、のびのびと、人を尊重し、自分を尊重してやってほしいなと思います。
池松壮亮(いけまつ・そうすけ)
1990年生まれ、福岡県出身。2003年『ラスト サムライ』でスクリーンデビューを飾る。その後数々の作品に出演し、数多くの映画賞を受賞。昨年主演を務めた『ぼくのお日さま』はカンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品された。26年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」では豊臣秀吉役を演じることが発表されている。
『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』
脚本・監督・編集・出演:オダギリジョー
出演:池松壮亮、麻生久美子、本田翼、岡山天音、黒木華、鈴木慶一
永瀬正敏、佐藤浩市、嶋田久作、宇野祥平、香椎由宇 吉岡里帆、鹿賀丈史、森川葵、髙嶋政宏、菊地姫奈、平井まさあき(男性ブランコ)
深津絵里
9月26日(金)全国公開
https://oliver-movie.jp/
©2025「THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE」製作委員会

2025.09.24(水)
文=高田真莉絵
撮影=榎本麻美
ヘア&メイク=内藤歩