上映開始までタイトルを明かさないシークレット試写会
くれい その後、一般公開まで2カ月余り。本作のヒットが見えてきたのは、12月に行われたシークレット試写会ですか?
小栁 11月に公開されたアニメ映画『ロボット・ドリームズ』も担当していたのですが、その作品で上映開始までタイトルを明かさないシークレット試写会を開催しました。内容に自信はありましたが海外のアートアニメ映画を事前の情報なしでご覧になったお客様の反応を知りたかったんです。その反応が良かったので、本作も香港映画に触れたことのない、アクション映画に馴染みがない方をはじめ、誰にでも受け入れていただける作品だと思っていたので実施しました。
SNSで募集した約100名のお客様に来ていただいたのですが、タイトルが出た瞬間に拍手が起きて。映画祭で観た方の口コミもあり、心待ちにしてくださった人も多かったようで、上映後のアンケートでは95%以上の方からポジティブな評価をいただき、「面白かった」「興奮した」との感想が並んでいました。そのとき「これは誰が観ても面白い作品だ」と確信しました。

大島 その日、SNSに感想や反応が上がってきたタイミングが早く、しかも文面の熱量が凄かった。でも、ただでさえ近年は公開本数が多く、年を跨ぐとこの記憶が塗り替えられてしまうかも? という心配はありました。
谷垣さんのキラーワードが反響を呼ぶ
くれい そんななか、年末から年明けにかけ、谷垣さんのインタビュー記事が各媒体に露出。本作の魅力を端的に説明した「『ALWAYS 三丁目の夕日』の世界観で『HiGH&LOW』をやる」というキラーワードも反響を呼びました。
小栁 谷垣さんには、とてつもない数の取材にご協力していただき、「字幕監修」としても参加してくださいました。香港電影金像奨など、本作で受賞したとても貴重なトロフィーも「映画館に飾ります?」と快くご提案くださったり、心から感謝しています。

くれい テレンス・ラウさんやトニー・ウー(胡子彤)さんなど、キャスト陣の中には本格的なアクションが初めての方もいたんですよね。彼らの特性を見極めて、バイクや日本刀を武器としたり、様々な武芸の流派を一から教えたのが谷垣さんです。
2025.07.28(月)
文=くれい響