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「六本木でパーティーするより、太陽や土とともに生きる生活のほうがかっこいいじゃん」

――食事を中心にご自身の生活を見直されたのですね。

 いまは人生100年時代と言われていますが、健康寿命は75歳くらいの人が多いとも聞きます。50歳の時に、コロナ禍もあって人生を見つめ直した時に、「どんなにお金があってチヤホヤされても、あと50年間もこんな重い身体で、しかもあちこちに病気を抱えて生きるのは嫌だな」とはじめて真剣に考えました。

 そこで、まずは自分の食生活を見直すことにしたのです。山菜やキノコ、クルミを中心に、肉も豚や牛ではなくジビエを食べる生活に変えていったら、するすると体重が落ちていきました。

 はじめたばかりの頃は、無意識にファストフードを買って食べてしまい、自己嫌悪に陥ったこともありました。でもいまは、ジャンクフードの匂いをかいでも「美味しそう」とは思わなくなりました。

 食生活だけでなく生活スタイルも朝型に変えました。いまは日の出とともに起き、日没後はなるべく早く眠るという毎日を過ごしています。「旧石器時代の生活」と人には話しています(笑)。

――コロナ禍があったとはいえ、マークさんがそんな生活に転換されたとは驚きです。

 いまはもう、僕のことを知らない世代のほうが多いと思います。ですから、「健康生活研究家」がメインで、音楽もやっている、と思っていただければ(笑)。

 いま僕が授業を持っている高校でも、誰も「マーク・パンサー」なんて知らない。最初の年は受講生が2人だけでしたが、選択した理由が「親が知っていた」「お母さんを喜ばせようと思って」だったことに衝撃を受けました(笑)。

 でも僕自身も、昔のことはほとんど覚えていないんです。今にして思えば、あの当時はスピードが速すぎて、自分の人生に対しても時間に対しても雑に扱っていたのかもしれません。もし今お金も知名度も持っている人がいたら、幸せの価値をちゃんと考えることをぜひおすすめしたいです。

 僕自身は、いまは、六本木で大勢の人を集めてシャンパン開けて夜通しパーティーするよりも、太陽や土とともに生きる生活のほうがかっこいいじゃん、と本気で思っています。

2025.07.07(月)
文=相澤洋美
写真=釜谷洋史