佐渡の恵みが詰まった逸品を召し上がれ

 料理は月替りのおまかせコース一本。野菜ソムリエや出汁マイスターの資格を持つ智子さんならではの滋味溢れる7皿が順々に供されます。

 ペアリングはソムリエ、S A K E D I P L O M Aなど4種もの資格を有する創さんがコーディネート。ワイン主体のペアリングながら、佐渡らしく日本酒も織り交ぜて構成しています。

 こちらは山菜盛り合わせならぬ、前菜盛り合わせ。胡麻の餡をかけたわらびとセリのお浸し、ウドに真鯛の昆布締めを巻いた天ぷら、自家製のハムをのせたブルスケッタ、竹の子のつけ焼き、ふきのゼリー寄せとズッキーニのケーキ、ホンズワイガニの解した身をのせている根もずく、加茂湖産牡蠣の有馬煮など、旬を詰め込んだ7つの小皿が並びます。

 合わせる泡は、佐渡島在住のフランス人醸造家が手掛けたくまコーラのスパークリング。タレの香ばしさと独特の食感が活きた竹の子のつけ焼きや甘めに仕立てたズッキーニのケーキにドライな泡が好相性です。

 コースには変わり種の点心も登場。ブロック肉を買ってきて手切りしたお肉で作った粗挽きの焼売にお酢を効かせたウドのきんぴらを添えて。ジュワジュワと甘い肉汁が広がり、口福の絶頂に達したらミネラルたっぷりなオレゴンの白ワインでぐびっと流し込み、マリアージュを堪能しましょう。

 メインの魚料理は生でも食べられるフレッシュなサクラマスをソテーで仕上げ、ニラペーストと泡状の醤油ソースを添えています。皮目はカリッと焼き上げ、中はレア気味にしっとり仕上げて上品な味わいにまとまっています。

 合わせるのは佐渡を代表する酒蔵、天領盃酒造の雅楽代。アルコールは12%とやや低めで、口当たりがライトかつ甘口なのでスイスイと飲めてしまいます。

 どこかほっとするような馴染みを感じさせながらも、ジャンルレスで未経験な味わいはどうやって生まれるのか尋ねてみると、「料理人としての経験が浅いゆえに固定概念がないので、食材の掛け合わせや使用する調味料も自由に組み合わせています。そのおかげで自然と新しい味を生むことができるのだと思います」と、その秘訣を教えてくれました。

 心と身体が喜ぶ澄んだ料理に癒され、ワインラバーも納得の秀逸なペアリングを楽しめるkaneto、佐渡での新しい流れを作るレストランになりそうです。

kaneto

所在地 〒952-0014 新潟県佐渡市両津湊213-5
電話番号 050-1722-0310
定休日 月曜、不定休
営業時間 17:00~22:00
コース 8,800円
ペアリング付おまかせコース(完全予約制)
https://www.sadokaneto.com/

2025.06.04(水)
文=星子莉奈
写真=石川啓次