路地裏や雑然とした人込みの中など、「本当にこんなところに?」と思うような場所に、グルメの名店が隠れているのが台湾の醍醐味。そういったお店は見つけにくく、最初は入りづらいと感じるかもしれませんが、現地の人が通う本物の味に出会えたりします。

 そこで今回は、台北にある知る人ぞ知る隠れた名店をご紹介します。地元の人たちに交ざって本場のおいしさを味わいたい方におすすめのお店をピックアップしました。


台湾グルメ通が推す、市場奥の魯肉飯店

◆中央市場滷肉飯

 あるグルメに詳しい台湾人の知人がこんなことを言っていました。

「僕が一番好きな魯肉飯のお店は、市場の中にある誰も知らないようなお店なんです」

 そんな話を聞いたら、行きたくなりますよね。その言葉を頼りにこれまで足を運んだことのないエリアへ行ってみました。

 目指すお店は、日本で言えば築地の場外市場のような場所にあります。写真に写っている青いカバーがかかった建物、野菜と果物の卸売市場「臺北市第一果菜批發市場」です。

 市場に着いたら、写真のような路地の中を進みます。両側には肉屋、魚屋、野菜屋などが所狭しと並び、通りには人とバイクが入り乱れて活気にあふれています。バイクに気をつけながら、まっすぐ進んでください。

 人込みをかき分けながら歩くこと約3分。少し人通りが落ち着いてきたあたりで、目的のお店を発見しました。すでに多くの人が店先で食事をしていて、持ち帰りで購入する人の姿もちらほら。閉店近くに行くと魯肉が売り切れていることもあるようなので、訪れる際はお早めに。

 店内にはイートインスペースがあり、奥には4人掛けのテーブルが2卓と、カウンター席が数席ほど。まずは入り口で注文を済ませてから、空いている席に座って料理を待ちます。メニューは壁に貼られているものだけなので、指をさしたりしながら頑張ってオーダーしてみてください。

 おすすめは、「小魯肉飯(魯肉飯小サイズ)」40元に、「滷蛋(煮卵)」15元のトッピングと、「鮮蝦餛飩湯(蝦ワンタンスープ)」80元の組み合わせ。魯肉飯を注文すると、店員さんが「オリジナルの味でいいか?」「塩分控えめがいいか?」と聞いてくれます。味はしっかり濃厚ですが、あっさり感も高い。見た目のこってり感とは裏腹に、ほとんど脂っこさを感じさせません。

中央市場滷肉飯

所在地 台北市萬華區富民路145巷29號
電話番号 0903-569-670
営業時間 2:30~11:00
定休日 月曜 ※そのほか、市場の休みに合わせての不定休
アクセス 台鉄萬華駅出口よりタクシー約8分

2025.06.01(日)
文・撮影=矢作晃之