では、数と図形は必然的に学問として融合されなければならなかったのか? 数学史を見る限り、そんな感じもしなくて。数と図形をそれぞれ別の学問として発達させるとか、図形の学問を優先的に発達させることによって数を理解しようとする、といった様々な試みがなされたこともありました。まあ、結局どれも長続きはしなかったんですけどね。
結局、様々な偶然が積み重なって、数学は多様なものを内包する学問に進化していったのではないでしょうか。
えーー、ということは、もし、いろんな偶然が別の方向に作用すれば、数学が「図形の学問」や「数の学問」など、複数の学問に分かれていくこともあり得たわけですか。
そうですね。図形だけを学問の領域とする図形学とか、関数だけを追究する関数学とか、それぞれまったく別の学問になってもおかしくなかった。今は数学が得意な人と苦手な人にキッパリ分かれてしまっていますが、もしかすると「私は図形学の成績は良いけど、関数学は苦手です」みたいなこともあり得たわけです。
まずは「数」から始めてみよう
それはもったいない! 「数学」という言葉を単純に分解すると、「数」を「学ぶ」ということになりますが、かなり奥の深い学問だということが改めて分かりました。やっぱり、私には難しいかも……。
急に弱気になりましたね。でも、数学を学び直したいのであれば、「数」から始めるのは悪くないかもしれませんね。一番身近なものですし、誰でも簡単に理解できるので。というわけで、この本では主に「数」について扱っていきましょう。
手始めと言ってはなんですが、あなたには好きな数がありますか。
3ですっ。
即答ですね。どんだけ好きなんだか。
3ってちょうどいい数だと思うんですよ。「3人よれば文殊の知恵」「仏の顔も3度」「石の上にも3年」……ことわざや熟語にも多く使われていますよね。2だと何かもの足りない。
「3年目の浮気」というのもありますね。確かに2年では早過ぎるような気がします。
2025.05.13(火)