愛情あふれる懇親会

 その後の懇親会では、参加者全員に園内にある飲食店「楽猿(らくえん)」お手製のモップくん弁当が。ランチョンマット、そしてお弁当にかけられた熨斗のイラストは同園の飼育員さんが描いたもの。雨の日になったため、この日はお休みだったにも関わらず、急遽、体を振って体についた水気を払うモップくんのイラストを、当日の朝に描き上げてくれたそうです。

 懇親会には、前飼育担当者や現在の飼育担当者、別の場所を担当する飼育員も参加。他園で飼育されているシロガオサキについてやほかの霊長類についてなど、動物ファンらしい会話が繰り広げられていました。

 懇親会後、お開きとなってからも、モップくんの放飼場の前には多くのファンが。雨足は強いままでしたが、ちょくちょく顔を出すモップくん。お隣のフサオマキザルの放飼場を凝視したり、二足歩行で遠くを見るような仕草をしたりとマイペースに過ごしていました。

 誕生日当日の14日には、YouTubeのオンラインガイドでお祝いも。色とりどりのフルーツが飾られた豪華な誕生日プレートの中でも特に目を引くのは、モップくんの顔のフォルムが彫られたパパイヤメロン。前日、前飼育担当者が作ってくれたもののようです。

 室内から颯爽と現れたモップくん。鉄の棒に捕まりながら何を食べようか悩むように、プレートをじっくりと見ると、手に取ったのは食パン。その後は殻付きの栗をむいて食べてみたり。どんな違いがあるのかはわかりませんが、ニンジンを歯でちぎってはポイ、ちぎってはポイしながら、気に入ったところだけ口に入れたりと、40分ほど時間をかけて優雅に食べ進めました。

 南米に生息する霊長類はまだわからないことが多く、シロガオサキの平均寿命もどれくらいなのかはわかりませんが、21歳は若くはない年齢。モップくんと血縁関係にあるミツオさん(静岡市立日本平動物園)は現在30歳。モップくんもQOL高く、日々健やかに長生きしてほしいものです。

 現在、シロガオサキが見られるのは、日本モンキーセンターと東京都恩賜上野動物園、静岡市立日本平動物園。さらに、伊豆シャボテン動物公園では雌雄の展示が始まったとの情報もあります。

 珍しく、ユーモラスですが、シロガオサキは野生動物。飼ってみたいと思うのではなく、プロが飼育する動物園での観察、または野生で暮らすシロガオサキがこれからも継続して見られるように環境について考えるなど、適切な距離を持って接していきたいですね。

日本モンキーセンター

所在地 愛知県犬山市犬山官林26
電話番号 0568-61-2327
営業時間 10:00~17:00
定休日 火・水曜
https://www.j-monkey.jp/

参考資料=『今日のモップくん シロガオサキのモップくん観察記』(blueprint刊)

2025.05.04(日)
文・写真=高本亜紀