歴史のある寺院に身を置く贅沢
◆宿坊 西禅院

さて、高野山を旅するとなったら、宿坊を思い浮かべる人も多い。高野山には117の寺院があり、そのうち51カ寺が参詣者のための宿泊施設が整った宿坊寺院で、お寺によって個性は様々。
そこで今、注目されているのが、ラグジュアリーな宿坊での宿泊だ。
「西禅院」は高野山の開創直後に明寂阿闍梨によって開かれたお寺。
浄土真宗の宗祖である親鸞聖人が修行に励んだ場所として知られ、本堂には自作の像が祀られている。

松下幸之助氏との所縁も深く、好んで長逗留した茶室にも滞在することができるのだから、まさに歴史の只中にいると感じられる。

さらに、大正から昭和にかけての作庭家、重森三玲が手がけた3つの庭が趣深く、宿泊すればすぐそこに臨む部屋もあり、贅沢極まりない。

そして、後藤慈延住職に案内された本堂では166基もの燈籠に灯りがともされ、ほの暗い奥には位牌がぎっしりと並んでいる。

本堂の壁には笛、琵琶、天女たちが描かれ、極楽浄土を表現。
貴賓室の襖や壁のクジャクやハスなど、自然をモチーフにした絵画は名庭や厳かな空間と見事に調和している。


宿坊 西禅院
所在地 和歌山県伊都郡高野町高野山154
電話番号 0736-56-2411
客室数 15
料金 (1名)離れ貴賓室 58,000円~、Jr.スイート 28,000円~(すべて2名利用、2食付き)
https://www.koya.or.jp/
2025.04.28(月)
文=北條芽以
撮影=橋本 篤
協力=和歌山県東京観光センター
CREA Traveller 2025年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。