深緑:それはなぜ?
野島:自主制作的なこともたまにやっているんですけど、映像を作っているだけで内容は何もなくて。せっかく機材や技術があるんだから「これに内容があれば」と感じてしまって……。内容があれば映像に意味を持たせることができて、そうしたらもっと別の映像表現とか発想も生まれてくるかもしれない。今は、何となくのパッションでやっているので、何もない気がするんです。

深緑:別のインタビューで『ゴジラ-1.0』は「VFXが物語に寄り添っている」と仰っていたかと思います。『ゴジラ-1.0』の制作に携わったことから、物語に興味が出てきたという面はありますか?
野島:自分が作っているのって本当に1カット1カットなので、あまりそこは意味を持ってないんですよね。でも、それらをつなげてみると意味が生まれる。自分の作っているものにちゃんと意味がある、というのがいいなと思うようになりました。だから、ただ単に映像を作ってもそれはもったいない、一番重要なものがないという感じがしてしまうんです。
撮影:鈴木七絵


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2025.04.10(木)
文=野島達司,深緑野分