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CREA夜ふかしマンガ大賞2024
選考委員31名の愛読書と「マンガを読むときのマイルール」

 この秋、発表された「CREA夜ふかしマンガ大賞2024」。選考委員を務めてくれたのは、小説家、お笑い芸人、ミュージシャン、マンガ家、テレビプロデューサー、ベテラン書店員など、各界を代表するマンガ好きの31名。

 CREA2024年秋号では紹介しきれなかった、選考委員の皆さんのほとばしるマンガ愛を大公開!

 「夜ふかしマンガ大賞に推薦する作品」「人生で思わず夜ふかしして読んだ作品」「マンガを読むときのマイルール」など、マンガ好き必読のアンケートです。


深緑野分さんが「夜ふかしマンガ大賞に推薦するマンガ」

◆『スターリングラードの凶賊』速水螺旋人/白泉社

 舞台はドイツとソ連による戦争真っ只中にある1942年のスターリングラード。美少年、美女、ならず者に食わせ者が敵味方入り乱れて戦う東部戦線ウエスタンアクション。

「名作『大砲とスタンプ』に次ぐ新たな戦争作品『スターリングラードの凶賊』は、知略で暗躍する謎の眼鏡男と銃をぶっ放す美貌の暴れん坊コンビが戦場を生き抜く快作で、まだ1巻ながら作者の最高傑作となる予感で満ちている。プロットは冴え、血湧き肉躍る一方、戦争と人間の核心をえぐり出す。私も戦争と人間の正体を暴きたくて小説を書いているが、宮崎駿の『風の谷のナウシカ』と同じくらい、速水螺旋人の作品には敵わないと思っている」(深緑さん・以下同)

◆『司書正』丸山薫/KADOKAWA

「SF作品集『ストレニュアス・ライフ』からずっと丸山薫のファンです。新たな作品『司書正』は、架空の古代中国宮廷が舞台…だけれど、すべての書物を諳んじられる人間『司書正』は、ほとんどコンピュータで、つまりSFだ。丸山薫のフェティシズムとこだわりが炸裂している。豊かで緻密な世界観もHBOドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』みたいなサスペンスフルな陰謀劇も読み応えがある」

2024.09.29(日)
文=大嶋律子(Giraffe)