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 春の訪れを感じる頃、ポカポカ暖かい日が増えてきましたね。心が弾む一方で、花粉が気になる方も多いのではないでしょうか。くしゃみや鼻水、目の痒みなど、辛い症状が続くと、日常生活にも影響が出てしまいます。

 実は、花粉症の症状がひどくなる原因は、体のバリア機能が弱っているサインかもしれません。薬膳では、免疫力を高めるためには、「気(エネルギー)」や「血(栄養)」をしっかり補うことが重要だと考えられています。特に、腸内環境を整えることは、免疫力を正常に保つために欠かせません。腸内環境が整うと、体全体のエネルギーの巡りも良くなり、花粉症の症状も和らぎやすくなると言われています。

 そこで、今回は国際中医薬膳師のさとうあいさんに、胃腸を整え、免疫バランスをサポートしてくれる「甘酒」の作り方と甘酒薬膳レシピ3選を伺いました。

◆基本の甘酒の作り方

 甘酒は「飲む点滴」とも呼ばれる免疫アップに欠かせない発酵食品。体を温め、胃腸を整えながら、疲労回復や冷え、消化不良のサポートをします。ただし、糖分も含まれるため、適量を意識しながら取り入れることがおすすめです。1日コップ1杯(200ml)程度を目安にするといいでしょう。

 甘酒はそのまま飲むだけでなく、料理にも活用でき、お肉やお魚を漬けると、発酵の力でやわらかくなり、臭みも和らげてくれます。また、砂糖の代用として使うことで、自然な甘みが加わって、優しい味付けに仕上がりますよ。

 今回は甘酒メーカーを使って作りますが、ヨーグルトメーカーや、炊飯器の保温機能で作ることもできます。また、甘酒を活用するレシピでは、市販の甘酒を利用してもOKです。

●材料(作りやすい分量)

・生米麹:100g
・ご飯:150g
・ぬるま湯:600cc

●作り方

(1)甘酒メーカーの容器の中に食材を入れます。

※湯の温度は60℃ほどのものを用意しましょう。温度が高すぎると、麹菌が働きにくくなるので注意しましょう。

(2)甘酒メーカーをセットします。

(3)60℃に設定し、8時間置きます。

(4)時間が経ったら取り出し、粗熱が取れたら冷蔵保存しましょう。

◆味噌麹漬けのサラダチキン

 鶏肉は、体のエネルギーを高め、お腹を温める作用があります。長芋は、胃腸を整えながら、エネルギーをチャージする食材なので、鶏肉との組み合わせがおすすめです。

 舞茸や菜の花は体内の巡りを促して、体の余分なものを排出するデトックス効果が期待できます。体のエネルギーを補いながら、巡りを良くすることで、花粉症対策に役立つレシピです。

 鶏胸肉は甘酒と味噌に漬け込むことで、パサつかずにしっとりやわらかな食感に仕上げることができますよ。茹でた鍋の中でゆっくり冷ますことも、おいしさの秘訣です。

●材料(4人前)

・鶏胸肉:1枚
・長芋:300g
・舞茸:1房
・菜の花:1袋
・クコの実:10g

<下味調味料>
・甘酒:80g
・味噌:30g
・塩:少々

●作り方

(1)鶏胸肉と下味調味料をビニル袋に入れて、ひと晩味をなじませます。

(2)鍋に湯を沸かし(1)を袋のまま入れ、再度沸騰したら弱火にし、13分ほど加熱します。

 火を止め、湯の中に入れたまま冷まします。

(3)鶏肉が冷めたら、袋から取り出しお好みの厚さにスライスします。

(4)長芋は皮を剥いて半月切りにします。舞茸、菜の花は食べやすい大きさにざく切りにします。

(5)フライパンに長芋、舞茸を入れて蓋をし、蒸し焼きにします。

(6)舞茸がしんなりしてきたら、菜の花、クコの実を入れて再び蓋をしながら加熱します。

 お好みで塩を振って、味付けをします。

(7)器に(6)の野菜、(3)の鶏肉を盛り付けて完成です。

2025.03.20(木)
文・撮影=さとうあい