電気ウキを沈める魚群の正体は…?

 釣りを再開すると南西方角の上空に隕石のような、流れ星とは比べ物にならない大きさの発光体が現れた。

 あまりの大きさにその瞬間は地球の終わりを悟ったが、後に調べてみると、中国の衛星が落下した様子が九州の各地で目撃されており、私もそれに遭遇したのだった。夜空を見上げて唖然としていると……電気ウキが海中に沈んでいた!

 慌てて竿を立て巻き上げると、アジらしい下へと突っ込む力強い引きをみせる。そこで強引に寄せるとアジの口が切れてばらしてしまう恐れがあるので、竿の弾性を利用してゆっくり引き寄せる。海面でギラッと反射する体表をみてアジだと確信。慎重に抜き上げると見事なサイズのマアジだった。

 細身でもしっかり厚みがあって面白い引きをみせてくれた。東京湾などの内湾に居つく個体と違い平均的な脂の乗りは低いものの、身の締りがよく食感に長けるタイプ。しかし五島のアジはこんなもんではないだろう。

 アジは群れで回遊しているため素早く仕掛けを投入する。するとまたしても勢いよくウキが海中に引きずり込まれる。この赤色灯が海中でにじむ瞬間がウキ釣りの醍醐味である。

 先ほどより力強い抵抗で上がってきたのは一回り大きいアジ。

 アジの時合いに入ったら手を休める暇はない。次の一投で時合が終わるかもしれない緊張感をもって挑む必要がある。

2025.03.15(土)
文=ぬこまた釣査団(大西)