こんにちは、“おじさん俳優”推しのドラマウォッチャー・斎藤真知子です。
今期ドラマの推しおじさん俳優は、厳選したおひとりのみをご紹介します! ちなみに、このコーナーでは“おじさん俳優”を、40歳以上と定義してます。
◆『御上先生』の北村一輝
北村一輝が気さくでオープンな学園の理事長!? 見応えたっぷりの細かい演技まで見逃すな!

今期のドラマでイチ推ししたい“おじさん俳優”は、北村一輝さん一択!
もちろん他にも様々なおじさん俳優たちが出演しているドラマはあるのですが、特に見逃すな! とひとり勝手に熱くなっているのが北村一輝さんなのです(以下北村さんと呼ばせていただきます)。
彼が出演しているのは、現況の教育システムやタブーとされていることに否、を突きつけ考えさせる内容で、スタートと同時に大きな話題を呼んでいる日曜劇場『御上先生』(TBS系)。“ドラマのよくある感じ”や予定調和を感じさせない展開がスリリングで、豪華な出演俳優たちの演技も面白く、毎週楽しみにしています。
主演の松坂桃李が、文科省の“官僚”でありながら“教師”として私立高校・隣徳学院に赴任するという難しい役に扮し、令和の高校生たちに様々な事柄を考えさせながら導いていくという、新しい学園ドラマです。
北村さんはその私立高校の理事長・古代真秀を演じています。北村さんが理事長!? という驚きも大きかったのですが、そのキャラクターがまたいい意味でうさんくさいんです。
古代は一代で隣徳学院を東大入学者数を県内ナンバーワンの進学校にした、やり手の理事長なのですが、例えば成績のことだけしか言わないような堅物の厳しい教育者、というわけではありません(今のところは)。
彼いわく「隣徳をね、風通しのいい学校にしたいと思ってるんですよ」という思いから、生徒が気軽に理事長に話しかけやすいよう、校内を頻繁にブラブラしている。しかも背広でなく、学校名とロゴ入りのブルゾンをはおり、権威を感じさせないような姿で。
世間からも理想的な学校経営者として知られています。
ドラマの冒頭で起きた殺人事件の犯人の親が、隣徳の元教師だったという事実が明るみに出てしまった時も、テレビ出演を断らず、逃げ隠れせず積極的にコメントをする。
何事にもオープンで気さくに対応していく、今の時代の要求をよく理解している上司……に見えます。

ですが、いやいや、何かあるよね!? という思いがぬぐい切れないのは、北村さんが演じているから。というか北村さんの目に何かが宿っているから。
官僚である御上(松坂桃李)にコンプレックス剥き出しで敵意を向けている溝端 完(迫田孝也)に対して、諭した後に、ポンポンと肩をたたく仕草。(しかも「みぞはた」をずっと「みぞばた」と呼び間違えているけれど、絶対わざと!)
テレビ出演の直前、スタッフにマイクをつけられているときのいかにも場慣れしているような笑顔。そんな細かい部分が古代のキャラクターを作り上げていて、さすが! と感動します。
そして時々出てくる、何を考えているのか(たくらんでいるのか?)読めない視線や不敵な笑み。
北村さんが出てきて単なる傍観者、で終わるわけはないと思うので、先の展開が楽しみです。
2025.02.23(日)
文=斎藤真知子