この記事の連載
「その瞬間の特等席へ【星のや】を巡る旅」~「星のや沖縄」前篇
「その瞬間の特等席へ【星のや】を巡る旅」~「星のや沖縄」後篇
「その瞬間の特等席へ【星のや】を巡る旅」~「星のや竹富島」前...
「その瞬間の特等席へ【星のや】を巡る旅」~「星のや竹富島」後...
琉球の文化と優雅な暮らしを楽しむ

冊封使が琉球の文化や自然に触れ、優雅な暮らしを楽しんだように、「星のや沖縄」でも“暮らすような滞在”は施設全体に通底するテーマ。そのための仕掛けが随所に施されています。
寝室の窓際に置かれていたのは、上品な文箱。琉球王国の時代から使われているという、アダンでつくられた筆と、月桃で作られた風情ある便箋・封筒が入っています。

「滞在中の体験で感じたことをつづったり、家族や友人に手紙を書くのもいいですね」と、筆を手に取り、サラサラと文字をつづる也哉子さん。確かに、旅のさなかに目を留めたものや感じたことの輪郭は、時間が経つと曖昧になってしまうもの。こうして思いを書き留め、心に刻むひとときは、その後の人生をより豊かにしてくれそうです。

スタッフとのおしゃべりを楽しみながら庭めぐり

滞在中に参加できる「ゆんたく庭めぐり」は、敷地内の庭をスタッフと一緒に散策するアクティビティ。単に植物を紹介するだけではなく、その植物にまつわる文化や歴史などを交えて案内してくれるので、たくさんの発見や驚きがあります。
例えば、沖縄の海辺でよく見かける福木(ふくぎ)は、防風林のほか、やちむんの窯で使う薪や、染料としても使われること。甘い香りを漂わせる月桃の葉は、沖縄の冬の風物詩・鬼餅(むーちー)を包むのに欠かせないこと。畑で育てているシークワーサーは、夏~秋は青く酸っぱく、冬は黄色く甘くなること……いまも自然とともにある沖縄の暮らしを実感できるひとときです。



最後に『うとぅいむち滞在』全体を通した感想を也哉子さんに聞きました。
「『うとぅいむち滞在』のプログラムを体験することで、自分のなかに眠っていた細胞が活性化されるような、未知の回路が開かれたような感覚を抱きました。リゾートではゆったりと過ごすことを大事にしていますが、素直にいろいろ体験するのもいいものだなと思いました。
もちろん“ゆったり”な環境が整っていることも『星のや沖縄』の大きな魅力。客室の大きなテーブルを囲んでおしゃべりを楽しんだり、掘りごたつ式のリビングでお茶を飲みながら海をぼんやりと眺めたり、浜辺やプールサイドで過ごしたりと、敷地全体で暮らすような滞在が叶います」

「沖縄の海を眺め、寄せては返す波のリズムに身を委ねていると、それにシンクロするように呼吸も深くなり、リラックスできる。沖縄に移住するアーティストやミュージシャンが多いのも、こうした沖縄の風土が、急がずじっくり、自分の内なる世界や創作を掘り下げるのに最適だからかもしれませんね」
後篇では、『星のや沖縄』の客室をはじめとする「グスクの居館」の世界観をご紹介します。
内田也哉子(うちだ・ややこ)
1976年東京生まれ、東京・ニューヨーク・ジュネーブ・パリで学ぶ。文章家。エッセイ、翻訳、作詞、ナレーションのほか、音楽ユニットsighboatでも活動。2024年6月、長野県上田市にある戦没画学生慰霊美術館「無言館」共同館主に就任。著書に『ペーパームービー新装版』(朝日出版社)、『BLANK PAGE 空っぽを満たす旅』(週刊文春WOMANの連載を収録)などがある。週刊文春WOMANで「mirror river」を連載中。
星のや沖縄
所在地 沖縄県中頭郡読谷村字儀間474
電話番号 050-3134-8091(星のや総合予約)
宿泊料金
◆1泊170,000円~(1室あたり、税・サ込み、食事別 ※通常は2泊から受付)
◆2泊3日の滞在プログラム「うとぅいむち滞在」は1人157,300円~。1人追加につき+60,500円(ともに税・サ込み、宿泊料別)
客室数 100室
チェックイン 15:00/チェックアウト 12:00
アクセス 那覇空港から車で約1時間(空港リムジンバスあり/有料)
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/hoshinoyaokinawa/
◆Wi-Fiあり

2025.02.15(土)
文=伊藤由起
写真=橋本 篤
写真協力=星のや
ヘアメイク=布施綾子
協力=星野リゾート